●更新日 06/21●

黒い傘


これは会社員の河野さん(仮名)が体験した話である。

あの日は終電で帰宅したんですが、駅から自宅へ向かう途中、かなり強い雨が降り出したのです。
僕は傘を持っていなかったので「まいったな」と思いながら歩いていると

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金網に黒い傘がかかっていたんです。


恐らく誰かがそこに落ちていた傘をかけたのだと思ったが、傘を持っていなかった河野さんは、その傘をさして帰ることにした。
すでに夜の0時を過ぎている時間帯。
道に人はおらず、家の灯りもほとんど消えていた。

住宅街の中を歩いているときです。

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ふと後ろに誰かの気配を感じました。

振り向くと男性が歩いているのが見えました。
その男性も傘を持っていませんでした。

そのまま歩いていると、さっきより、もっと近くに気配を感じました。
また後ろを振り向きました。

先程の男性でした。
初老の男性で雨に打たれビショビショになっていました。

「たいへんだな」と思いながら、そのまま自宅に向かいました。

自宅について一休みしているときです。

ピンポーン

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とチャイムが鳴りました。

「こんな深夜に誰だろう?」と思い覗き穴を覗いてみると


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誰もいないのです…。


気味が悪くなって部屋に戻りました。



すると足元がヒンヤリとするんです。

下を見ると…


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どういうわけか部屋の床一面がビショビショに濡れていたんです…



河野さんは、そのとき黒い傘と初老の男性が、ふと頭を過ぎったという。
傘と一緒に霊も連れてきてしまったのだろうか?
ちなみにその傘は翌日の出勤前、元の場所に戻したが帰宅のときはもうなかったそうだ。
霊はやはり、その傘の行き先についていっているのだろうか?

落ちている物をむやみに持ち帰るのは、注意したほうが良いかもしれない…。



Li Kouji(リ・コウジ)写真


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