●更新日 11/04●
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辺野古に集まる“ジュゴン捜索隊”の怪しい本音





「辺野古でジュゴンの映像と写真を撮りたいので、協力してほしい」
沖縄で作家活動をしている私のところに、とある団体職員のA氏が訪れてきたのは、2014年の9月のことだった。

彼がもちこんだ大量の機材は、明らかに観光客のレベルではなかった。辺野古は普天間米軍基地の移転がすでに決定し、現在進行形で工事が進む場所である。

辺野古はジュゴンが生息するという言説が一部にある。工事が進めば、絶滅危惧種である彼らの生命が脅かされるといわれ、大小様々な団体が基地移設反対を唱えている。A氏は純粋に保護のため、辺野古のジュゴンを撮影して保護運動の資料にしたいというのだ。

だとしたら、幸か不幸か。いや、幸と言うべきだろう。彼の沖縄来訪は無駄足だった。
辺野古にジュゴンはいないのだ。

辺野古に集まる“ジュゴン捜索隊”の怪しい本音
本当に辺野古沖で撮影されたジュゴンか、地元住民は首を傾げる。

たとえば、辺野古で暮らすある男性(34歳会社員)はこう語る。
「辺野古が地元ですが見たこともない。そもそも沖縄にはジュゴンは三頭しか残っていないといわれているし、そのうちの一頭は西海岸の古宇利島近海で、残りの二頭は嘉陽海岸というところにいるというのがよくいわれること」

そう、誰に聞いてもこう答える。嘉陽海岸は確かに辺野古に近いが、ジュゴンはほとんど移動しないため辺野古を生息域にすることはない。

しかし、奇妙なことが起きた。取材テープをA氏に渡し、そう説明したところ、
なぜか「それでは困る」とうろたえ始めたのだ。

実は彼のような人々はたびたび辺野古に現れる。調べるとA氏はプロ市民や運動家と揶揄される左翼だった。辺野古は沖縄の反基地運動の最前線であり、基地移転に反対する人々にとって「ジュゴンの保護」は非常に便利な大義名分なのだ。
あまり知られていないが、反基地運動をする者は、ほとんど沖縄在住者ではない。

辺野古に集まる“ジュゴン捜索隊”の怪しい本音 辺野古に集まる“ジュゴン捜索隊”の怪しい本音 大阪?

ジュゴンが絶滅危惧種とされているのは、主に食用や脂肪を油に転用するために乱獲されたからだ。いわば人間の道具とされたための悲劇。だが、それはジュゴンを自らの政治的主張の道具にしようとすることと何が違うのか。沖縄に暮らす「普通の住民」は、そんな外部からの運動家の人々に困惑している。

辺野古に集まる“ジュゴン捜索隊”の怪しい本音 あなたはどこの人?



執筆:神里純平@沖縄の住民が直面する意外な現実を報告していきます/構成:ニノマ


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