●更新日 01/15●
生活保護の使い道 in 西成 その1
東京の派遣村で支給された就職活動費が飲酒に使われた問題。では西、大阪・西成区にひろがる日本最大のスラム「あいりん(釜ヶ崎)」ではどのようなことが起きているのか。それを知るために、記者は足を向けた。
あいりん公共職業安定所
職安はあいりんの中心ともいえる場所だ。早朝には日雇い労働を求める労働者が数百人集まるほか、路上生活者達の大半は日中をここの2階で過ごす。2階に昇った記者は、絶句した。
職安の2階。
床に布団や段ボールを敷き、寝そべるホームレス達。百人以上はいるだろう。だが話し声はしない。屋内であるのに鳩や雀が飛び回り、糞尿のような臭いが立ちこめている。ひたすら異様な光景だ。
職安内には食堂もある。安く、味は悪くない。
彼らは、夕方6時ごろになると職安の前に300メートル近くの行列をつくる。それはNPOが運営する無料宿泊所を利用するための列だ。記者も宿泊したが、毛布は3枚あてがわれ、ベッドが固いのは難点だが、睡眠をとるのには十分だ。ただし風呂や洗濯の機会に恵まれない方が多いため、室内は悪臭がひどい。
無料宿泊所内。このようなベッドが40ほど並ぶ。
とはいえ、あいりんはホームレスタウンではない。れっきとした労働者の街であり、土木作業員や施工職人などが、全3万人の人口の中で三分の二を占めている。だが、街の年齢層は極めて高く、平均年齢は50歳くらいだろうか。職安では公的・私的に関わらず仕事の募集が行われるがほぼ全てが肉体労働であり、年齢的に継続的な就労は難しい。また折からの不況で募集は冷え込んでいる。
彼らの多くは生活保護を受けている。東京で飲酒に使われた就職活動費。もちろん就職活動費の意味合いが含まれる生活保護を、あいりんの住民がどのように使っているのかを、直撃した。
次回に続く
ニノマ
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