●更新日 11/23●





ペット残酷物語  〜トリマーの真証言




私はトリマーをしています。
ペット残酷物語の動画を見た翌日に、知り合いが『こんなに大きくなるとは思わなかった、手に負えない』という言う理由で保健所へ連れて行った話を聞き、ショックを受けました。
犬に関わる仕事をして、専門学校を含めたら13年になります。以前、保健所に保護されている子がうちの子かもしれないと言うことで確認しに保健所内に入りました。
階段を降りて地下へ通されました。入り口が2ヶ所あり、左側の扉には『猫(子猫)』と書かれ、右側の扉には『犬』と書かれていました。
そこには檻に入れられた犬が何頭もいました。覚えているだけでも10頭はいたかと思います。1頭だけダックスで、その他は中型雑種でした。ダックス以外の全頭には首輪が付いていました。日数事に移動していくのか、檻の上側には番号が書いてありました。ちなみに、保健所へ保護された子が自分の子の場合、保護した日から数えて1日300円のエサ代を払うそうです。
お金を払うのは仕方がないですが、山積みにされたフードが『日本犬』と言う、ホームセンターなどで10キロくらいが700円くらいで売られている粗悪なフードにびっくりしました。

ここ何年はトイプードルがブームです。1年に何千頭と増えています。
ブーム絶頂期、業者が韓国、中国、タイ、フィリピンなどのアジアから大量に輸入しました。アメリカやイギリスは検疫などが厳しいのと、価格も高いので大量に輸入が出来ないからです。
外国の血統証を日本の血統証(日本はほとんどがJKCジャパンケンネルクラブと言う団体の発行)に変更するには時間とお金がかかるのと、国によっては元々ない犬もいます。
なので、業者は手っ取り早く、死んで本犬がいない血統証や子犬の申請時に余分に作ったものを代用します。要するに偽血統証です。
それを犬に付けて売ります。
血統証なんてものはどうにでもなるものなんです。血統証が付いていると言うだけで高値が付きます。最近ではミックス犬にまで血統証を作る人もいます。純血種よりもミックスの方が高値が付くこともあるので、業者はわざとミックスを作る人もいます。
市場では、なかなか売れずに値段が下がった子犬をペットショップの買い付け担当者が大量に購入し、連れて帰って数日後にはショーケースで売られます。でも、その裏には、連れて帰ってストレスで死んだ子も沢山います。
市場では生後間もない子犬の方が売れるし高値が付きます。
そのために、連れて来られる子犬は生後25〜35日とまだお母さんの乳を飲み、やっと離乳食が始まったくらいの小さい子がほとんどです。そう言う子を店頭に並べると、『小さくてかわいい』と、お客さんは買って行きます。
買う人がいる限り、ショップは小さい子を仕入れ、増殖屋も小さい子を出すんです。
私達はそれぞれの犬種の血統・系統を大切にして健全な犬を作っている人達のコトをブリーダーと言い、お金第一で産め増やせと犬を物としか扱わない人達を増殖屋と呼んでいます。
ブリーダーと増殖屋とは目的が違いますから。
増殖屋と同じくたちが悪いのが一般の素人です。犬に対して、その犬種に対しての知識がなく、子犬を売ってお金が入ると味をしめて、今までペットで飼われていた子が次からは繁殖用に変わります。まともに働けば、普通の人の1ヶ月の給料はだいたい15万〜だと思いますが、ブームの子犬を売れば1頭売っただけで1ヶ月の給料以上のお金が入ります。1度に沢山生まれれば、それだけの収入が増えます。そのため、まともな知識がないまま一般家庭で増殖屋になった人も沢山います。
私からすればそう言う人は増殖屋だと思いますが、そう言う人に限って、ホームページなどに『ブリーダーやってます』とあります。
純血種には、交配してはいけない毛の色やタイプがあります。例えば、ダックスではダップルと言うカラーは絶対にダップル同士やクリームとは交配してはいけません。アルビノや視覚障害、心臓疾患などの疾患を持って生まれるコトが多いからです。生まれつき脳障害で、一日中死ぬまでくるくる回っている子を見たコトもあります。
その子は生後4ヶ月で死にました。
変わった毛色が生まれたりすると高値で買う人もいます。買う人がいるから、産ませる人もいるんですが…。
それでも、交配したらいけない毛色から生まれた子に対してもJKCは血統証を発行します。ペットで飼っている素人さんが発情のたびに産ませたり、交配したらいけないカラーを交配したりしている人もいます。交配を頼むペットショップも『この色が生まれたら高く売れるからこの色をかけたらいいよ』と、止めるどころか逆に奨めています。
こちらが忠告すると『ペットショップの方が正しい』と言われます。




日本人は流行りに弱いです。
プードルは毛の手入れが非常に必要な犬種です。1ヶ月〜1ヶ月半に1度のトリミングがいります。残念なことにそんな間隔でトリミングに出される方はほんの一握りです。半年に1回、根元からガチガチに固まった毛玉で連れて来られる人もいます。毛玉を取るだけでも犬には負担になります。それなのに、流行りの犬雑誌を持って来て『このカットにして』と。中には『犬にお金をかけたくない』と言われる人もいます。だったらどうしてお金のかかる種類を飼うのでしょうか。ペットショップや増殖屋は売れさえすればいいので、プードルはお金がかかるなんて説明しません。きちんとしたフードを与え、トリミングに出したら月1万程かかります。お金がかかるからと飼い主さんが自分で虎刈りにする人もいます。でも、結局は素人さんなので、ケガをさせたり、後々、外耳炎や皮膚病になる子もいます。病気にさせた方がお金はかかりますが、そう言う人は外耳炎や皮膚病くらいでは病院には行きません。
小さいプードルがティーカッププードルなんて売られていますが、ほとんどが未熟児です。そもそも、『ティーカッププードル』なんて犬種はいませんから。トイプードルの小さい子をそう呼んでいるだけであって。

品川庄司の品川さんが以前テレビで『トイプードルは元々スタンダードプードルって言う大きいプードルの小さいのをかけていって小さくしたものだ、最近はティーカップに入るように小さいのをティーカッププードルと言う』と知ったげに言っていましたが、スタンダードプードルとトイプードルは全くの別犬種です。スタンダードにテリアなどを交配しできたミニチュアプードルに、さらにシュナウザーやテリアなどを交配し小型化した犬がトイです。スタンダードプードルから言えば、ミニチュア、トイは交雑種です。それをテレビで堂々と言われていたのでびっくりしました。

日本は生き物に対してまだまだの国です。以前、崖っぷち犬やタイヤ犬などいましたが、テレビで話題になる犬には是非飼い主になりたいと言う人が沢山現れるのに、実際には『雑種』と言う理由で里親はなかなか決まりません。よく迷い犬を保護しますが、純血種はすぐに里親が見つかるのに対して、中型雑種は困難です。動物病院の紹介や保護届けを出した交番のおまわりさんの紹介などでなんとか貰い手が見つかりましたが何ヵ月もかかり大変でした。
捨てられる子犬や子猫も多いです。外で飼っていたら知らない間に子供を産んでいたなど多いですが、どうして避妊手術をしないのでしょうか。避妊手術をしていれば、捨てられる子犬や子猫、保健所へ持ち込まれる数も違って来ます。地域によって手術費用は違いますが、手術をすることによって不幸な子の数は減るはずです。

私の地域は1頭の引き取り代は2千円です。いらない人は2千円出してでも保健所へ出すでしょうし、2千円も出せないと言う人はどこかに捨てるでしょう。
でも、この2千円には命という重みがあります。





編集・BOZZ







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