●更新日 03/07●


猫のレンタル業者、問われる管理責任


「ねこのすみか」という神奈川県の業者が猫のレンタルを開始すると宣言したところ、愛猫家らの猛反発を受け、抗議が殺到した。騒動の一因は、猫に対する虐待や、猫の習性等についての考慮が不十分なまま、レンタルされるのではないかということだった。

この点について疑問を持った人々が問い合わせたり、同店のブログに書き込んだりした。ところが、店側が納得のいく回答を用意できなかったようで、人々の不信感は増すばかりとなった。それに加えて、同店関係者がmixiで挑発したり、同店掲示板等への批判的な書き込みの一部を削除したりしたことで、騒動に拍車がかかった。


ブログ書き込み


問題視されている点について店側の見解を聞くべく、2009年3月3日に取材を申し込んだ。だが、「バイト店員」と名乗る男性は、責任者は不在で5日の夕方に戻ると述べた。5日に再度連絡を取った際も同じ人物が電話に出て、責任者は不在とのこと。取材の趣旨を話すと、以下のように語った。

現時点では取材を受けることができないが、近いうちに規約を発表するという。まだレンタルを開始していないにもかかわらず、人々による勝手な書き込みが続出し、根負けしているとのこと。「担当が頭を悩ませているので、慌てなくていいよと慰めている状態なんです」という。

その後、同店HPに規約が掲載された。すると、掲示板等に書き込まれていた内容が、店側の主張も含めて一斉に削除されてしまった。そのことに対しても、納得できないと愛猫家らは批判している。店側としては、規約を掲載したことで説明責任を果たしたということなのだろう。だが、規約の内容にも依然として曖昧な記述があるとの指摘がなされており、混乱を招いているようだ。


「ねこのすみか」サイト画像


また、削除されてしまった書き込みの中で、アニマルセラピーという点でも猫のレンタルは意義があると、同店は主張していた。この点について、都内の大学病院に勤務する精神科医は懐疑的だ。アニマルセラピーという和製英語が、専門的な知見のない業者に濫用される状況は、問題視されているそうだ。セラピーの意味や効果が不明瞭なものが多く、動物を利用した商売を安易に正当化する口実になっているという。


店側の書き込み


猫が被害に遭った場合の賠償金についても店の規約にあるが、「猫をモノ扱いするのか」といった声もある。これはレンタル業そのものへの疑問であり、愛猫家らの認識との間には埋めることの不可能な溝があるのかもしれない。



高橋



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