●更新日 05/22●
ちなみに1億800万円の請求に対し、鹿児島地裁が算定した損害額は約7954万円。そこから「原告(両親)が事故防止の注意義務を果たしたとはいえない」とする過失相殺で、賠償額は3割の約2626万円となったとのこと。 事故の子供は当時2歳だったのだから、主原因は「両親の不注意」と見るのが妥当だ。 しかし「30%はメーカーが悪い」となったわけで、かなり原告よりの判決だと思われる。 なにせ原告側の弁護士ですら「玩具の誤飲でメーカーに製造物責任を認める判決は異例」と驚いているくらいなのだから。 世論の反応としては、やはり訴えた両親への批判的な意見が主流。「2ちゃんねる」では「どうみても親が悪い。」「よくこんなことで訴訟が起せるな。」「なんだこの馬鹿親。」「アホな地裁判決。」「どうして常識的な判決が出せないんだ。」と、あいかわらず口さがない。 しかし、両親の心情としてはそう簡単に割り切れるものではないのだろう。 事故当時2歳だった男の子は今、8歳。 自分の不注意とは知りながらも、幼くして障害を負い、体を動かすこともままならなくなってしまった我が子と、元気に遊ぶ同じ年頃の子供たちを見比べるとやりきれず「もし、メーカーがもっと考慮してくれていたなら……」と、涙にくれていたのかもしれない。 そんなことを思うと、なかなか両親をなじる気持ちにもなりにくい。 今回の判決もそれを酌み「言われてみれば、そういう危険も予想できなくはなかったよなあ? バンダイさん?」ということらしい。 ひょっとして、こういう消費者よりの判決を下すことで企業・業界の注意を喚起する意味もあるのかもしれない。 とはいうものの、問題になったガシャポンのカプセルは直径40ミリ。「直径31.8ミリ以上とする」という日本玩具協会の安全基準を十分クリアしていた。 バンダイ側からしてみれば、ちゃんと定められたルールを守っていたのに「あなたが守っていたルールは間違ってたから!」と言われたも同然なわけで、理不尽といえば理不尽。 原油価格高騰によるコスト高でガシャポン市場の危機も報じられている昨今、玩具業界全体に与える影響だって小さくはない。 「カプセルを四角にしろって? たくさん穴を開けろって?」 「それで口の中を怪我したらまた賠償か? 割れた破片で怪我をしたらまた賠償か?」 「いったい、どこまで注意すればいいのだ?」 などなど、いろいろ言いたいこともあるにちがいない。 バンダイ側は「控訴は現在検討中」。しかし、子供を相手にするビジネスのこと、少しでも「子供に危険がある」と言われれば弱いところでもあるだろう。 今後の進展が注目されるところである。 特捜班 |
|
探偵ファイルのトップへ戻る |
|
|