●更新日 03/11●


殺されそうになって…… 当時の心境を本人が語る


(事件の状況を教えてください)


事件当時はホームレス生活2ヶ月目だったんです。当時は暖かかったからここら辺(事件現場)でバーベキューをやってる人も居たんです。
事件当日は、バーベキューをしている人(加害者達)4人しか居ないのに、ホームレスをして2ケ月の間で一番、飛びぬけてすっごいうるさくて、その時は女性の安藤さんの声が、女性という事もあって一際目立っていて。
始めは彼等も楽しくやっていたんでしょうけど、僕は奴等のうるささに気づいたのは夜中の2時頃だったと思うんです、あまりにもうるさかったんで。見れば判りますけど、ようは(ダンボールが)2重になっているだけなんで、声なんか筒抜けな訳ですよ、だから奴等の会話も否応なしに聞こえてくるんですよ。始めは普通にバイトの話とかしてて、その時点でカラオケ屋でバイトしているのはわかったんですけど、そうしているうちに、「燃える、燃えない」みたいな会話が聞こえてきて、ある男の声で

「あそこを燃やして中に居る奴を助ければ警察で表彰もんだね」

という会話からだんだんこっちに話が向いてきた訳です。

「これはヤバイな」と思っていたんですけれど、向こうは大学生4人だし外に出てもヤバイなと思って、恐いなぁ、と思いながら布団を被っていたんです。
そうしたら「中に本当に人が居るのか?」という会話が聞こえてきたんです。
で、「誰か見に行こう」という会話が聞こえて、「山手線ゲームで負けた奴が見に行く」みたいなのが聞こえて、誰か負けたんでしょうね、足音がしてきて出入口の所から僕を覗くんですね。僕も恐くなって布団の中に潜って息を潜めてたんです。そしたら「いるよ、毛布に包まって寝てるよ」みたいな話をしていて、その後、奴等ははまた普通の会話をしていました。
暫くすると思い出したかのように、また僕の会話をしているんです。「燃やしちゃおうか?」みたいな。で、僕はもう恐かったんですけど、外に出るのも辛いんでジッとしているしかなかったんです。
そしたら、バーベキューも終わったんでしょうね、安藤が「この余ったサラダ油どうする?」って声が聞こえて、僕も(余ったサラダ油??)ってなりまして、「かけたら燃えるじゃん」みたいな会話が聞こえて

「じゃあかけようか」

って話になって、1人がかけていたんでしょうね。

自分はその時は、「燃やしちゃえ」って会話も聞こえてたんで、その時は音しか聞こえないんですけど、会話からするとガソリンとか灯油とかの類だと思ったんですね。
(ヤベー!本当に来んの!?)って思っていたら、足音がして何かを(ダンボールに)かけてるんです。

油をかけられたダンボールハウス



(油をかける音)1つ1つが聞こえるんですよ、中狭いし。
はぁはぁ言ってる息遣いまで聞こえましたから。
「ふざけんなよ!」と思って。僕はその時、灯油かガソリンだと思ったの、バーベキューで使う人も居るから。

暫くしたら「着火点が必要だ」って話してて、何処から持ってきたのか知りませんがラーメン屋の、のぼりありますよね?あれを持ってきたんです。
それを着火点としてダンボールに巻きつけるんです。

その時手が見えるんです。

「ヤべーよコイツ等本気だよ」ってなってるんですけど、出たところで殴られたりするかもしれないし、恐くて出れなかったんです。その時、奴等はワーって盛り上がって手拍子まで聞こえて。
でも当時6月だったから明るくなってきたんですよ、電車も通ってるし、帰るのかなぁ?なんて思ったけど奴等帰んないですよ、人も歩いていたはずなのに。
したらそのうち「実際に燃やそう」ってなってまたゲームが始まったんです。
自分は(煙か火が見えたら脱出しよう)と思ってたんです。
そしたら「燃やせ!」「殺せ!」って声が聞こえてきて。皆デカイ声で。
そしたら足音が聞こえてきたんです。それが長嶺でした。

「本当にやべぇ」と思って、着火するところは僕の出入口しかないんですけど、すぐそこで、「カシャカシャ」ってライターの音が聞こえるんです。

「カシャカシャ」って何度も聞こえるんです

「よかったぁ、ライター点かねぇんだ」っと思って。
そしたら「ライター点かねぇよ、畜生」ってボソッと声が聞こえたんです。
「うわぁ、こいつやる気満々じゃん」とか思って、で、ライター点かないもんだから戻っていった足音が聞こえるんです。暫くして足音が近づいてきたんで、(今度は確実に燃やされる!)と思った僕は、何か叫びながら飛び出したんです。そして「何やってるんだ」みたいなこといいました。
そしたら少年が何かを小脇に抱えてたんです。

ガスコンロですよ?

サラダ油関係なく燃えますよそんなの。
川岸に安藤と男が居たの、そしたら女が「ほぉーら出てきた!」って言ったんです。腹が立って、安藤の方行って何かは覚えてないですけど、なんか話したような気がするんです。
それでフッと自分の家を見ると、綺麗に油がかけてあるんですよ、

こんなの遊びでもなんでもないと思って

また来られたら大変だから警察に電話する事にしたんです。

男女が立っていた場所

家に戻って携帯を取ろうとしたら焦ってたんでしょうね、なかなか取れなくて、やっと見つかったら、奴等はのぼりも片付けて逃げる準備をしてるんですよ。そうしたら隣(のホームレス)も気づいて、僕等も仕事をしてるんであまり大げさにはしたくなかったけど「(警察に)電話していい?」って言ったら「いい」という事になって。
僕は階段のところで一旦奴等を捕まえて、ホームレスという立場上、もみ合いはしなかったんです。

少年等を捕まえた階段

それで携帯を片手に110番したんです。
そしたら主犯の長嶺が

「ジョークだよジョーク!」

とか言って、もみ合いになって、警察には繋がったんだけれど、喋れないんで、隣の人(ホームレス)に携帯を渡して、でも多勢に無勢で逃げられたんです。
それでまた携帯を手にして、自転車で奴等を追いかけたんです。交差点で奴等は1人 1人 2人の三手に分かれたんです。で僕は安藤ともう1人の、2人を追いかけて捕まえたんです。その時その2人は少し観念しているようだったんです。
そこで警察に場所の変更の電話をしていたら後ろから長嶺にタックルをされたんです。そして携帯を取り上げられたんです。携帯を取り返したらアイツ(長嶺)は財布から小銭を出して地面に「これでも拾え!」って投げて、それを無視してたら

「拾わないの?乞食の癖に」って笑いながら逃げるんですよ

それで女(安藤)に「こっち来い!」って言って安藤と長嶺で逃げたんです。
それで朝霞台の駅に着いて、僕も電車に乗らしちゃマズイって事で2人をまた捕まえたんです。そこでもみ合いになって、すぐそこの派出所に行ったんです。
でもそこには鍵も掛かってて誰も居なくて。




その間に朝霞台の駅の階段で2人ともみ合ってたら俺の事押さえつけて、長嶺が安藤に向かって「逃げろ!」って。そしたら安藤はダダダダダッって走って切符買って改札の中に入っちゃって。
でもたまたま駅員さんが向こうから歩いてきて、「その女捕まえてください」って言って捕まえてもらったんです。

被害者と2人がもみ合っていた階段




(謝罪に関してはどうでしたか?)

安藤以外はご両親、留置後、本人の謝罪もいただきました。

(不起訴になったことについてはどう思われますか?)

納得してませんよ。検事は実際燃やしていなければ難しいって言ってましたけれど、ふざけんなって感じですよ。ガスコンロを持って「燃やす気なかった」はないだろ?と思います。
これを許していたら駄目でしょ?今回はこれくらいの事で済んだけど、僕も何もしなかったらどんどんエスカレートしたでしょ?そのうち一線を越えると思いますよ。そこに処罰の対応が何もないなんて悔しいですよ。今回のだって本当に悔しいですよ。

(安藤に対し何か言いたい事はありますか?)

少年達は法的にもう終わってから、本人から気持ちのこもった謝罪をして頂いたけれど、一方で安藤は連絡もよこさない、両親からも何も来ない、(留置所から)出てきても何もない。暫くしても何もない。
内容証明で

「川に流れた油に対して燃やせと言っただけ」

なんて言ってるんですよ。

ふざけた言い訳でしょ?こんなに屈辱なの初めてですよ!

(もしも安藤と会えたなら会って話をしたいですか?)

・・・今は会いたくないです。そんな言い訳(川に流れた・・・)している時点でお話にならない。今は会いたいとも思わない。改めて事実に基いて話をして欲しい。

(どういった気持ちでブログをやっているんですか?)

被害者の気持ちやら、事件のことやらを知ってもらったり、被害者の反撃の1つの手段だと思うんですよ。
時間が経つと、事件の当事者以外は事件の事なんて忘れてしまって、報道陣も引き上げてしまって、それで終わりなんですよ。でも被害者はそれで終わりじゃないんですよ。
伝えたい事が伝えきれないじゃないですか、伝えたい事がしっかり伝えられるから。
でも、まさか自分でやるとは思わなかったです。
でもこういうやり方は今の時代アリなんじゃないかと。




ブログは前から持っている携帯や、漫画喫茶などで更新しているという男性。
ホームレスだろうが事件の被害者が直接ネットで語れるというのは、確かに「今の時代」なのかもしれない。



特捜+大住




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