●更新日 03/07●
判決編
(判 決)
被告:Sを無罪とする。
(理 由)
原告:K子は「Sが姦淫を目的として睡眠薬を服用させ、抵抗できないようにした上で情交を強要した。」と主張するが、当時、K子がS抵抗できない状況であったかについては、 その前後の状況から、疑いを差しはさまざる得ない。
K子は睡眠薬を服用後、
@Sに細かい道順を指示し、車両を自宅の玄関前まで誘導している。
ASが交際・情交の代価として金品を提示した際、これの交渉に応じている。
B夜間、自宅付近に近づいた車両を指し「あ、パパの車だ。」と、即座に車両を判別している。
C情交の後、Sに代価として金品を請求している。
DSの携帯電話を強引に取り上げて操作し、自分の携帯電話に着信履歴を残させている。
このような動作が可能であった以上、当時、K子の思考力と行動力は正常であったと判断され、Sに対し拒否・反抗ができない抗拒不能の状態であったとは認められない。
また、Aの交渉の際、情交について明確な拒否が可能であったにも関わらず、それをせず、Cにおいては、情交の代価を請求している。
これらは、Sとの情交が合意のもとであったことを示すものである。
その他、K子は関係を迫るSに、わざわざ「以前、妊娠して困ったことがある」ことを告げている。
これは情交相手に対し避妊を促す文言であり、すなわち、情交そのものについては承諾していたものと判ぜられる。
これらから、SがK子に対し“強いて姦淫”したものとは認められない。
一方、Sの行動についてであるが、そもそも密室である車両内の女性に対し、密かに睡眠薬を摂取させること自体、社会通念上、何らかの性犯罪を行う目的であったと推認するに足る有力な事実である。
加えて、
・偽名を使い、身元についてでまかせを言っている。
・マクドナルドでK子が同行を申し出ているのに、これを断っている。
・K子にでたらめの電話番号を教えようとした。
・睡眠薬を持ち歩いている。
など、
不審な点が多いと言わざる得ない。
しかしながら、SがK子に睡眠薬を服用させたにせよ、その行為が当初よりK子を抗拒不能にして姦淫することが目的であったなら「じゃあ、彼氏にしてよ。お金払うから。月15万でどう?」などの愛人契約を提案する必要はそもそもない。
加えて、
・当初、車両で全く別の場所へ行くこともできたのに、K子の自宅玄関前へ到着している。
・情交後、K子を自宅へ送り届けている。
などの状況もSの犯意を否定するものである。
以上を総合すれば、原告:K子の主張する犯罪の証明は存在しない。
よって、被告:Sを無罪とするものである。
いかがだったでしょう?
皆さんはどのような判決を下されたでしょうか?
今回は男性と女性で、ずいぶん意見が別れたかもしれません。
ともあれ、実際の判決はこのように下されました。
司法や裁判は奥深いもの。参考になれば幸いです。
特捜班
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