病院関係者を狙う、振り込め詐欺とは？？

「おれおれ詐欺」と言われていた時から「振り込め詐欺」に名前が変わった今に至るまで、いつまで経っても無くならないどころか手を変え形を変えて進化しています。

痴漢・事故から、最近では還付金詐欺など行政を語るモノまで･･･。
この振り込め詐欺、判断力の鈍る中高年者をターゲットにしていると思われがちですが、病院関係者をターゲットにしたモノがあるとか。
今回、この詐欺に引っかかってしまったA氏に取材を受けて頂きました。

―Aさんは病院関係者と言っても、具体的にどんな？
A氏　「それは･･･。具体的なのは本当、勘弁してください。とある総合病院の整形勤務です」

―どういう手法に引っかかってしまったんですか？
A氏　「それは･･･えっと･･･その前に、この詐欺が他のと比べて表に出てこないのは、医師が隠してしまうからなんだと思います」
―と言うと？
A氏　「その･･･。後ろめたいことがあるからなんです。たぶん狙われるのは、外科・整形外科・歯医者・心療内科・骨接ぎなんかですね･･･」
―なるほど。何かカラクリが解ってしまいました。じゃぁ、先生もやっていたんですね
A氏　「はい･･･。保険の不正請求（※）です･･･」
※一番解りやすく説明すると、患者が来てもいないのに来ている事にして保険料を請求する。皆さんが病院に払っているのは3割で、残りは保険が払っています。他、1回の採血だったのを複数回やったことにして請求するなど。

―手口を教えてください
A氏　「まず、電話が掛かってくるんです。で、“先生、やっちゃったねぇ･･･。不味いんじゃないのぉ･･･？”みたいなことを言ってくるんですよ」

―なるほど、そうやって負い目がある人を探すわけですね
A氏　「たぶん･･･。私の場合は交通事故で長期入院していた患者さんでその･･･まぁ、負い目が有ったので、凄くドキリとしました。そしたら、“バレたら免許取り消しになっちゃうねぇ。今だったら、内々にしてあげるよ”と言われて･･･。馬鹿なことそしました。これも因果応報なんですかね（苦笑）」

―振り込め詐欺というより、負い目がある人を強請っているから、恐喝に近いですね。
A氏　「それから少しして、何でバレたんだろうと思うようになって調べたんですよ。そしたら、何てことはない･･･そういう医者を狙ったおれおれ詐欺がここ数年は起きているっていうのを知りました。結構な数の医師がやられているみたいですね。名前は絶対に出せないけど、みんな知っている大病院の医者もやられているって聞きました」

それだけ不正請求をしている医師が多いということか。
大きな病院になるほど患者の数も医師の数も多くなるから、そういう不正をしている人も割合的には多くなる。個人で開業している所は、院長が全権を持っているから、そういう不正が出来る環境にある。
もちろん騙す方が悪いに決まっていますが、主婦やご年配の方が被害に遭ったのと違って、この不正請求の医師が被害に遭ったと聞くのはそれほど同情心が湧きません。
まぁ、不正は駄目だよという神様からの天罰だったと思えば･･･。



ちなみに、ラブホテルの駐車場にこうやってナンバーを隠しているクルマがいます。
十中八九、後ろめたいことがあるからなのですが･･･こうして隠しているクルマのナンバーを割って、持ち主を恐喝するというのが20年以上前から有りまして、今でも無くなっていません。
今回の話、これと似ていますね。
後ろめたいことがあるから「本当に知られているのでは」と思って、カモになってしまう。
病院には専門の病巣が有って、それを逆手に取っているだけなのですが、根っこはこのラブホテルと一緒というのがとても切ない。



山木