●更新日 09/30●


ミャンマーの洗脳教育の実態とは


日本人が射殺されるなど、このところミャンマー関連のニュースが多い。軍事政権が情報や言論を統制してきたこの国の実態はどのようなものであるのか。
これまで報道されてきた内容を見る限り、北朝鮮の洗脳教育を思い起こさずにはいられないような情報や言論の統制に見えるのだが、実際のところはどうなのだろう。ミャンマーの教育政策支援に関わってきた、JICA(国際協力機構)のスタッフに話を聞いてみた。


――最近の各国による一連の報道について、現地の人々は知っていますか。
「情報化が進む時代ですから、完璧な情報統制など不可能です。むしろ、「欧米のマスコミが流す情報は信じるな」という呼びかけが現地のニュース番組等を通じてなされています。」
――僧侶の影響力が強いという報道がありましたが、その通りなのでしょうか。
「教育の効果がどの程度発揮されているかということは一概には言えませんが、現地で使用されてきた教材を見る限りでは、僧侶の影響力は無視できませんね。」
――その教材というのは、具体的にどのようなものですか。
「ミャンマーでは、学生が使用する教材や、その教材を使用する教師のための指導書が1種類しかないという状況が続いてきました。つまり、教育内容に選択肢がないということです。そういう状況の中で、愛国的な価値や行動を賞賛する内容が教えられてきたのです。」
――そのような傾向の改善は難しいのでしょうか。
「国としては、外交を意識して、教育方針の転換を盛んに宣伝しているのですが、実態はそのようにはなってきませんでした。そこで、JICAでは「児童中心型教育強化計画プロジェクト」を実施して、現地で教育内容や手法の改善に努めてきました。詳しくは、HPで事業内容や経緯を説明していますので、ぜひご覧ください。」

写真 写真
JICA HP「ミャンマー国児童中心型教育強化プロジェクト」より

――仏教以外の宗教については、どうでしょうか。
「もちろん布教活動はなされていますが、元々仏教徒が多い上に、言論や思想の統制が強いと、そう簡単には成功しません。一方で、布教の過程でのトラブルも絶えないようです。」


ミャンマーでの布教活動の一例として上記スタッフが紹介してくれた、あるキリスト教系団体のHPには、「すべての家庭が、キリストに導かれるように」などと書かれている。軍事政権による独裁国家の洗脳教育が異常であることは言うまでもないが、それに介入しようとする欧米的な「正義」に基づく価値観も、また独善的であるようだ。
せめて我々日本人はミャンマーの「すべての家庭が、幸せに導かれるように」行動していきたいものである。



高橋



◇上記のタグを自分のサイトに張ってリンクしよう!


探偵ファイルのトップへ戻る

前の記事
今月のインデックス
次の記事