●更新日 01/05●

ネトゲに潜む罠(前編) 〜ある不幸な女性との出会い〜


多彩なジャンルでネットユーザーを虜にしているネトゲ界だが、新たな「出会い」のツールとしても浸透してきている。
ネトゲで知り合って結婚……という話も聞くようになってはきたが、なにせ顔が見えない「キャラクター同士」の付き合いからはじまるので、トラブルも多いようだ。これはそんなお話の1つ。

とあるネトゲでグループのリーダー格だった、陸町さん(仮名)は、ごく普通のサラリーマンだった。暖かい人柄と細やかな気配りのできる陸町さんのキャラは、男女問わず人気があった。
そんな中、おとぼけ天然キャラの「マュ」が激しい好意を寄せてくる。「マュ」は、ネトゲ上の有力者に取り入ることが知られており、陸町さんも当初はうとましく思っていた。

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マュとのネトゲ恋愛を語る陸町さん

しかしマュとゲーム上だけでなく、メールや手紙のやりとり、そして電話でも話すようになり、「親に捨てられたうえに、離婚暦が2回。持病があって、子供が産めない体」等の不幸話を聞き、それでもキャラとしては明るく振舞う様子に心を打たれていく。

「こんなに不幸な人間がいるのか。ここまで聞いてしまった責任と、話してくれたことに対する誠意として、自分にできる助けはなんでもしてやろう」と思うようになっていった。「昔のダンナの借金のために風俗に売られた」というエピソードが決め手となり、「今後の人生を犠牲にしてもいい、 マュを救ってあげたい」と決心。

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直筆の手紙は可愛い封筒に入って、ほのかな香水の香りとともに送られてきた


そして、マュの境遇と本気で向き合おうと考え、付き合っていた彼女と別れた。更に、自分の子供をもつことを諦める。
「子供を育てなければ金銭的な余裕が将来的にはできるだろう」と考え、そのぶんマュの助けになろうとしたのだ。
毎朝の新聞配達、日曜祭日の単発バイト。マュの借金のために借りられるだけ借り尽くし、兄弟の名前も借りて、その金を全て渡したのだ。


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男心をくすぐるツボを心得た健気なメッセージの数々

その金は、「銀行口座を持つことができない」というマュのために、自分名義で作った郵便貯金カードを送り、そこに振り込んでいたのだが……


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気づくと、郵便貯金カードに付随していたクレジット機能が、いつの間にかキャッシング枠いっぱい引き出されていたのだ……

(続く)



梅宮貴子


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