●更新日 09/25●


疑う依頼者


「自宅に盗聴器が仕掛けられているかもしれない」という盗聴発見調査の依頼。
依頼者の自宅を訪問した探偵は、早速、捜索に取り掛かったのだが、


機材のスイッチを入れた瞬間、メーターの針が振り切れた!

強い電波を検出したのだ。間違いなくこの室内には盗聴器がある。
緊張する探偵。
慎重に電波の発信源を探り、すぐに場所を突き止めた。
電波の発信源は部屋の中心。そして、そこには依頼者が立っていた。

依頼者しかいなかった。


探偵は無言でアンテナを依頼者の体に向けた。
「ピィィィィィィ」というブザー音と共に、電波計の針が振り切れる。
アンテナを依頼者からそらすと「ピタッ」とブザー音が止んだ。
再び向ける。「ピィィィィィィ」
そらす。「ピタッ」

じーーっと依頼者を見つめる探偵。
「いやぁ……」
依頼者は恥ずかしそうに頭を掻き、ポケットから黒い物体を取り出した。

盗聴器である。

「本当に見つけてくれるのかなーと思って♪」
どうやら、依頼者に試されたらしい。

聞けば、この依頼者。以前にも別の探偵に盗聴発見を頼んだのだが、その時はわずか10分ほどの調査で「盗聴器はありません」「あなたの気のせいです」と簡単に言われてしまったのだそうだ。
あまりにも簡単に終わった捜索に、依頼者は「本当にちゃんと探してくれたのだろうか?」と疑った。
そして今回ふたたび盗聴発見を依頼するにあたり、探偵をテストすることを考えたのだった。
「ちゃんと探してくれているのなら、隠し持った盗聴器もすぐに発見されるはず」
「もし“盗聴器はありません”などとシレッと言いやがったら……!」
 ・
 ・
 ・
難なく依頼者のテストをクリアした探偵は滞りなく捜索を終えた。
結果は「盗聴器はなし。どうやらあなたの気のせいです」
心配のあまり2回も盗聴発見を頼んだ依頼者だったが、この結果には大いに納得し、丁寧にお礼を言ってくれた。

盗聴発見調査を検討中の皆さんに言っておきたい。
電波は目に見えず、皆さんに機械のことはよくわからないかもしれないが、

私たちはキチンと探しますから!

どうぞ安心してお任せいただきたい。



探偵 Y



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