ジュウシマツそしてマーライオン

『さぁ今度の案件は脱毛案件ですよ！！』
上司のそのセリフにキラリと目を光らせる女探偵たち。

先月の、『さぁ今回は北陸のエステ案件ですよ！！』の闘いは私が勝った。
「今度は脱毛か・・・。今度こそ、今度こそ・・・」


先月の私は久しぶりのエステに浮かれていた。
もちろん、エステを受けるのが仕事ではない。
エステを受けながら、任務を遂行する。
任務を遂行するには、エステを受けないわけには行かない。

なもんだから、
『あぁぁぁぁん　もぉぉぉぉ　ラッキー！！！！何年ぶりのエステかしら、美顔かしら、痩身かしら、楽しみぃぃぃぃ〜！！！　』
なんて感じになってしまうことは許して欲しい。

♪タリラッタ〜♪

男性調査員は調査で風俗に行ったり、キャバクラに行ったりしているけど
女性調査員はそんなこと滅多ないんじゃ！
女性調査員だってちょっとはそんな思いしたいんじゃ！

少し前の私なら調査にドッキドキでエステうんぬんなんか一つも楽しめなかった。
しかしこのような案件の場合、まずはなりきることが大事なんだとわかってからは本気で楽しむことにしている。そちらの方が調査結果もよろしい。

年の功ってことで勝ち取ったエステ案件。
「エステを受けに北陸ってなんだかセレブだわ〜」（どこが）
なんて言いながら急行列車に揺られる私。

が、着いてびっくり。
エステなのに外観が元コンビニ型。
・・・・・・。大きな声じゃ言えないけどしょぼぼん(TдT)

気を取り直して、いざ入店！！！

「ちゅん、ちゅん、ちゅん」
なるほど、良くある”鳥の鳴き声”の有線か・・・。


私の目の前を『ちゅんちゅん』

って本物の鳥飛んでるよ。

子供の頃憧れてたジュウシマツちゃん。欲しかったんだよね。

うひょーーーーー。
何だよココのエステは。
鳥飛んでるってありえないでしょ。

放し飼いではなくオーナーのおばちゃんの飼ってるジュウシマツが籠から逃げたってことで一安心。

しかし、よく見るとなんだかおかしな感じだよ。
造花のツタが目張りの板にびっしりはりめぐらされ、「ココはジャングルなのか？」と言いたくなるぐらいウッソウとしてる。そして店に入った時からとてつもな存在感をアピールするマーライオンのかなり大きな置物。 （アタシの腰の高さぐらいあったと思う）


エステに期待が出来ない・・・グスン。


しゃーーーーーーーーーーーー。



・・・・・。まぁいい。仕事をしよう。

ココで私が行うことは簡単に言うとエステを行う人の資格の確認と使うモノの確認。
まぁそれはちょいのちょいで終わらせた。
画像も取れたし、証拠もとれた。
で、当のエステはどうだったかっていうと

最悪だった。

痛かった。
痛かった。
それしか覚えていない。

そして、『もぉ帰る！！』と思った時から3時間、軽く軟禁された。
もちろんエステの勧誘さっ。
こんなことには慣れっこだったアタシなのに、飛んできた鳥やら私を迎えたマーライオンやら痛いエステで調子が狂ったらしくちっともふりきれない。
なんとか外に出た時には真っ暗。

あぁぁぁぁぁもぉぉぉぉぉぉ！！！！！！！

残念！
以上！



女探偵インコ