●更新日 01/10●


追跡


荒木です。

写真


アメリカのドキュメンタリーTVなどでヘリからの空撮による警察と犯罪者のカーチェイスを御覧になった方は多いと思う。
狭い日本では少ないが広大なアメリカでは日常茶飯事だ。
だが逃げ切れる確立はゼロに近い。

我々バウンティハンターによる追跡劇も当然ながら数多い。
実際に特権を所持しての映画ばりのアクションは心地好い。

窃盗犯サミュエル・ゼイン(29歳)とのチェイスも印象深いメモリーである。

ゼインは車上荒らしの常習犯で、ベイルボンズが提示した懸賞金の額は2500ドルだった。
ロスの郊外パームデール地区で寝ずの張り込みをしていた私の目前にゼインは現れた。

だが獲物は単独ではなく仲間ふたりと連れ添っていたのだ。

もしも銃火器を所持していれば複数との過激な銃撃戦は間逃れない。
逸る気持ちを抑えて捕物のチャンスを窺った。

ゼインら三人は車に乗り込むと動き出した。
そのあとを気付かれぬように尾行。

獲物たちは住宅地をゆっくりと走り、路上に駐車してある戦利品を物色し始めた。

三人は車を止めてそれぞれ路上を徘徊、ゼイン捕獲のチャンスが訪れた。

私がゼインに近寄ろうとしたそのとき、あろうことか仲間のひとりマービン(26歳)がハンドガンを発砲。
銃弾から身を守るために私は地ベタに伏せた。
マービンは続け様に三発撃ち込んできた。

そしてその隙をついて獲物どもは車に乗り込んで猛スピードで走り出した。
そのあとを慌てて追跡、カーチェイスの幕開けだ。

写真

奴らはハイウエイに乗り込むと南下し始めた。
他の車に激突せぬように気を配りながら追跡。

警察の援軍パトカーがサイレンをけたたましく鳴らしながら後尾に数台現れた。
ゼインらの車両は振り切りたい一心で加速を続け、他の車に接触してしまった。
その衝撃で激しく横転。

逃げたい気持ちは当然だが追跡のプロを相手にして不可能である。
幸い他を巻き込んでの大事故は起きずに安堵の気持ちの私と警官たちであった。

ゼインは私が護送し、あとの仲間ふたりは警官たちが連行した。



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