●更新日 11/14●


交渉人 荒木秀一2


前回

私はプロファイリングの結果、逃避行したふたりが幾度か現れているボートハウスを探し出した。

「だが喜ぶのはまだ早い・・・・・・」

また再び現れるとは限らないからである。
確かに利用顧客リストにはふたりの名前が記されていたが、予約はされていない。
だが私は初動捜査で己の直勘を信ずることにした。





そして張り込みを開始。
週に二回だけカジキ漁船は運航しているので、その日を狙った。
5度目の張り込みで躊躇しはじめたが、6度目にトライすることにした。
6は私のラッキーナンバーでもあるからだ。
ゲンかつぎは性に合わないほうなのだが、このときは試してみることにした。

そして6度目のその日、私はついに逃避行中のエリカとマイクの姿を捉えた。
あとはネゴシエーションである。
当然ながら始めはすんなりと聞き入れるわけがない。
私は、サンダース氏が心配していること、二人がこれからも一緒にいたいのであれば逃げるのではなく立ち向かわなくてはいけないことを説いた。
二人とも、中々動こうとはしなかった。
私は何時間も、粘り強く説得にあたった。初めて会った日本人にこんな風に諭され、二人はさぞ奇妙な心持であったことだろう。しかし、私の熱意がやがて彼らに伝わり始めたことがわかった。
そしてその日、無事に二人をサンダース氏の元へとトランスポートすることが出来たのだった。

固く結婚を反対されていたふたりだったが、のち数カ月後にめでたく結ばれた。
このような特殊稼業で生きる自分には結婚など一生縁遠いお話だと、この時しみじみと感じたものだ。<

そんなことを笑い飛ばすかのように、私はひとりでイルミネーション輝く夜のロスの街へと溶け込んで行った。





 私の究極行方調査術



◇上記のタグを自分のサイトに張ってリンクしよう!


探偵ファイルのトップへ戻る

前の記事
今月のインデックス
次の記事