●更新日 03/17●

近いようで遠い国


アリゾナ州、ツーソンから車で30分程南下したところにアメリカとメキシコを隔てる国境があります。
そして現在、両国は高く立てられたフェンスによって遮られています。
まだ工事中のようでして、最終的にはその長さは1200キロにも及ぶとのこと。

アリゾナ州

これは言うまでも無くメキシコからの不法入国者対策です。
現在アメリカ、主にアリゾナ州やカリフォルニア州の南部で暮らしている不法入国者の数は1200万人。
そして毎年20万人を超えるメキシコ人が不法にアメリカへと入国してきます。
彼らが高いリスクを犯してまでも「自由の国」への入国を試みようとするのは仕事とお金の為。
こちらの工事現場や農場などで低賃金で働いている人間はまず間違いなくヒスパニック系の人間ですし、その内の大半が不法移民であると言っても過言ではないと思います。
それでも、雇用者側としてはやはり少しでも人件費を削減したいらしく、不法入国者であると知りながらも彼らを雇う店や農家が後を絶ちません。
雇い主としては人件費の削減プラス人手の増加、働き手としては本国で仕事をするより多くの給料を手にすることができるわけですから、一石二鳥と言ったところです。


アメリカでは昨年、メキシコからの不法入国者に対しての取り締まりを強化することを政府が発表。
冒頭のフェンス設置もその政策の一環なのですが、発表当初は多くのラティーノ&ラティーナ達がこれに対して猛反発。
メキシコや全米各地でデモが続発しました。


アリゾナ州

私的見解を述べさせてもらえば、きちんとした手続きを済ませた人間がどうこう言うならともかく、あくまで違法的に入国している人間である以上は今回の件に関して一切の発言権はないはずです。
そして、彼らのほとんどが英語が喋れず、喋ろうとする努力もしない。
何度かそういう人たちのコミュニティに足を踏み入れたことがあるのですが、ちょっとしたカオスでした。
Excuse me? と声をかけても No hablo Engles(英語喋れないよ)とスペイン語で返されます。
観光で来るならまだしも、アメリカに住んでいる人間が英語を一言も喋れないというのはどうなの?と感じてしまいますよね。

メキシコとアメリカ。この二つの隣接している国を隔てているのは、高くそびえるフェンスの他にももうひとつの見えないフェンスで遮られているような気がしてなりません。
2つのフェンスが完全に撤去されるのは、一体いつになるのでしょうか?



John Doe


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