本当の狙いは？

訪問販売勤務のご主人の浮気調査を依頼してきた奥さんがいた。
奥さんとご主人の年の差は２０。預かった２ショット写真はまさに父と娘。

「主人は絶対浮気している」

興奮気味の奥さんだが、可愛いし、新婚なのに「何か疑わしいことでも？」と聞くと「だって営業職だから、いつどこで何をしてるかわからないじゃないですか？とにかく３日間尾行してちょうだい」と手付金を机に置いて帰った。

調査初日、自宅マンション前で張り込む私にベランダから手を振る奥さん。
“バレたらどうするの”と焦りながら見張ること約１時間、やっとご主人が姿を現した。
出勤時間が過ぎている為か小走りで駅へ。



電車に乗るのかと思いきや、ベンツがお迎え。私は慌ててタクシーで後を追った。ベンツは奥さんから聞いていた会社とは別の方向へ向かった。運転しているのは女性。この人が浮気相手なのだろうか…。

結局ベンツは事前情報とは全く違う会社に止まった。そして、先に車から降りたご主人に女性が「社長、夕方の…」と話しかけた。

え？社長？？平社員と聞いていたんだけど…。

私は２人と同じエレベーターに乗り会話を聞いた。



どうやらご主人は社長で、女性は秘書のよう。

あまりにも奥さんの話と違いすぎて戸惑ってしまったが、引き続き会社の前で張り込んだ。
昼休み、男性数人と出てきたご主人は近所の飲食店へ。




「この前の物件は５千万円で売れそうです」と不動産の話。奥さんの話とは全く違う。
いったいどうなってんの？
この日ご主人は、午後８時過ぎに秘書の運転する車で駅前まで行き、そこからは歩いて帰宅。

その晩、早速奥さんから電話があり、見たまま、調べたままを報告すると、「やっぱり！家はお金持ちだったのね」と喜んだ。

「私は毎月食費として５万円しか貰えなかったの。おかしいと思った。主人の財布には常に３０万円ぐらい入ってるんだもん。これでもう遠慮なくカードで買い物できる！」

どうやら、この奥さんの狙いは、最初から浮気調査じゃなかったみたい…。



女探偵ノゾミ