●更新日 01/25●

シェフ見習いの憂鬱


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ここで言う「シェフ」とはファミリーレストラン系の厨房ではなく、人気レストラン・個人経営などの店で働く人達の憂鬱です。

今回は料理の鉄人にも出ていた某鉄人の店で勤務しているAさんを中心にお話を伺いました。
それではどうぞ!


――まず、どのようにして働くのですか?
基本的にフロムAなどの情報誌では募集していません。調理師専門学校などの卒業の時期になると多くの求人があって、それを経由して働くというのが一般的ですね。求人内容も店によって違う所も確かにありますが、バイトではなく殆どが社員としての募集です。


――何故ですか?
勤務時間が非常に長いから、時給計算になるバイトじゃ駄目なんですよ。新人で、朝7時から終電前後を週6で働くことになりますからね。


――それでお給料は?
私のいた場所は高かったです。保険関係も全部しっかりしていて、それが引かれても18万とかはありました。これが個人経営などのレストランになると悲惨ですね。総支給額が12万とかザラです。そこから税金引かれて家賃引かれてとなると、生活ギリギリ。この業界、貧乏人だらけですよ。


――そんなでも、いる理由は何でですか?
料理業界が好きだからって理由の人か、将来は自分の店を持ちたい!っていう夢がある人のどちらかですね。耐えられないで辞めて行く人は本当、多いですよ。


――シェフになるまでの道は、どれくらいの期間なのでしょうか?
ようするにシェフって、厨房のことを一通り出来て任せられる人のことなんですよ。個人経営の店なら、2〜3年とかでもなれると思いますよ。これが有名店とかになってくると、まずはホールを1年することからスタートします。どんな人がお客で来るのか、どんな注文状況なのか、回転の状態はという店のことはホールやらないと解らないですから。これはどんな店でもそうだと思います。そして厨房の下っ端として仕込みをしたりとかの下積みを1年くらいして、デザート・グリル・盛り付けなどの一つのパートを任せて貰えるようになるまでに2〜3年くらいでしょうかね。シェフはもう才能次第。何年いてもなれない人だっています。有名店なら、料理業界に10年くらいいてなれれば早い方だと思います。

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――よく、フランスとか海外に修行しに行くって人いますよね?あの事情を教えてください。
海外修行はツテがなければ出来ません。自分の憧れるシェフがいて、そこで給料はいらないから働かせてくれ!って頼み込む人も中にはいますけど、それで働けるかどうかは解らない。日本に戻ってきた時、何か役立つかと言ったら、そこで何を見に付けたかなんですよ。どんな技術を習得したか。ただ、それだって日本で習得出来る技術だったかもしれませんからね。一概には良いも悪いも言い切れません。ただ、例えばフランス人の好む味付けを習得して帰ってきても、自分の店を出す時に良しと出るかは・・・。今、日本にあるフレンチも中華も、日本人好みの味に直されていますからね。


――最近、不二家の賞味期限切れのような事件がありますが、この業界はどうなのでしょうか?
ありえません。食中毒なんて起きたら、店が潰れます。賞味期限内のものであっても、風味が落ちたからって理由で捨てているんですよ?レストランなんて評判が全てなんで、賞味期限が切れてるモノ出して良いことなんて、何一つない。


――この業界に入りたいと思っている人に知っておいて欲しいことは?
まず、勧めませんよ(笑)

絶対に知っておいて欲しいのは、休みなんかないってことです。一日15〜18時間なんて普通に働きますし、休みは新人の時くらいしか取れません。逆なんですよ、居ても居なくてもいい存在の時の方が休めるんです。これが、パートを任せられるようになってきて、その人がいないと店が回らないという存在になってしまうと、夏休み・正月くらいしか休めなくなります。友人・恋人関係は壊れると思ってください。私は学生時代の友達も恋人も1年目でいなくなりました(苦笑)

あるシェフの方は、父親が死んだ時も予約がたくさん入っていて、休まれると店が回らないって理由で葬儀に出れなかったという話を聞きます。
上を目指せば目指すほど、頭の中も生活も、店のこと・料理のことで埋め尽くされるようになってしまうので、、、


――何か面白い話はありますか?
面白いかどうかは解りませんが、知っておいて欲しいことにも通じるのですが、店の中は治外法権です。
グランシェフ(オーナー)や、シェフは神様で、基本何やってもうやむやです。
とろい奴に暴力なんて日常茶飯事。殴られる・蹴られるくらいで辞める人は向いていません。私が実際に喰らったのでは、焼けたフライパンを投げられたことがあります。火傷?もちろんしましたよ?

店の中で起きた話で一番苛烈なのは、包丁で刺されたってのもありましたね。


――なんで!?
怒らせたからじゃないですか?(笑)
さすがにその人、辞めましたね・・。


――なんで、問題にならないんですか?
そういう業界だからというのが理由なんですが、黒い話をすると料理業界はヤクザと繋がっています。ヤクザさんだって美味しい店には食べに来ますからね。そういう関係もあってだとは思いますが、、、

他にも、某鉄人が「このコ、ちょっと借りていくから」と営業時間中に店の女の子連れて行ってしまって、レイプしかけたという話もあります。その日の夜に彼氏が怒鳴り込んできたのですが・・・それも結局うやむやになりましたしね。しかし、アレはビビッた。




如何でしたでしょうか?
職人の世界なので上下関係は厳しいとは思いますが、それだけでもないようですね。
お客さんの美味しいという笑顔に癒されるという話も聞けましたが、生半可な思いではずっとやり続けて行くことは難しいようです。

シェフを目指す人に、少しでも情報になったらな・・と思います。



山木


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