●更新日 01/16●

誰が為に支援する?


2億7600万円

これは海外の優良和食店を認証する新制度に対して、農林水産省が本年度の予算に組み込んだ金額です。

「本来の和食」を普及させることがこの制度最大の狙いみたいですが、発表当初に欧米諸国からの猛反発を受け、当初は「和食認定」だった名称を急きょ「和食支援」に変更したものの、結局内容は何も変わっていないという有様。

アメリカに5年近く住んでいる者として、このイマイチよくわからない制度の事を最初に聞いた時は
「これ、アメリカのほとんどの日本料理屋アウトだろ」というのが率直な感想でした。

今やアメリカ中のジャパニーズ・レストランで出されている、シャリの中にアボカドとカニカマを入れて巻いたカリフォルニアロールや、マグロの赤身のたたきとチリソースをあえたものが巻いてあるスパイシー・ツナロールなんてものは「本来の和食」からは大きくかけ離れていますし、客の目の前で鉄板を使ったパフォーマンスしながら料理をしてくれる、アメリカで一番有名な日本料理レストランの「BENIHANA」だって「本来の和食はあんなパフォーマンスはしない」と言われてしまえばそれまで。

写真 写真
左がカリフォルニアロール、右がスパイシー・ツナロール。どちらもアメリカではポピュラーなSUSHI。

そして一般のアメリカ人は、自分達の馴染みの日本料理屋が日本政府から支援されようがされまいが別に気にしないのが殆どです。
彼らは人の目や評判なんか気にしない、自分の食いたい時に食いたいものを食う!という思想な上に、「別に韓国人や中国人が握ってもスシはスシだろ?」程度にしか考えていません。
ですが、仮にこの制度をイタリア政府が日本のイタ飯屋を対象にして実施した場合、おそらく日本人の多くが支援を受けたレストランに足を運ぶんじゃないでしょうか。
日本ほどブランドのイメージを大切にする国って他にないですから。

そもそも、海外で日本料理屋を経営している以上、その国の人の口に合うようにアレンジして料理を出す事は至極当然な事ではないでしょうか。
日本のカレーやラーメンだって、オリジナルを改良して日本人好みの味に変えていった訳ですから。


まぁ、
「美味けりゃなんだっていいじゃん」

こういう考えの人種が一杯いる所で支援しても、よほどの日本好き以外にはあまり効果がないような。
まさに、誰が為の支援なのでしょうね。



John Doe(ジョン・ドウ)


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