終わらないかくれんぼ

「もういいかい？」「まーだだよ！」のかけ声でお馴染みの遊び、かくれんぼ。
英語ではハイド＆シーク（Hide & Seek）。こちらでも遊び方は同じ、オニが隠れている人達を探すゲーム。
ただこちらでは一定の数を数え終わったオニは「そっちがよくても、よくなくても探し始めるよ！」といきなり探し始めるので、さっさと隠れないとダメなのがルール。
そんな、子供の遊びのはずのかくれんぼが…

大学生になると勉強より先に覚えるのが本当は21才からでないといけないお酒の飲み方。大学は親元を離れ、寮で生活するのが一般的なアメリカ。寮で出会った仲間達と色々な事を覚えていく。
今年3月終わりにニュージャージー州の大学から一人の男子生徒、ジョン・フィオコ、が学生寮から突然消えた。最後に目撃されたのは3月25日午前3時。かなり酔っ払っていたという。

それから一ヵ月後の4月。ペンシルバニア州にあるゴミ埋立地から腐りかけたジョンの死体が発見された。銃や刃物の傷跡はないものの、ゴミと一緒に叩きつけられたり、掻き回されていた為、原因になるような外傷の判断が不可能。寮の各階にはゴミを捨てられるダストシュートとよばれるトンネルのようなものがある。地下のゴミ捨て場まで行かなくても、シュートを使えばゴミは地下に置いてあるコンテナの中に入る。ジョンはこのシュートからコンテナに落下し、そのまま埋立地まで運ばれてしまったと予想される。

何もわからないまま7ヶ月立とうとしているが、今月に入って「かくれんぼをしていたようだ」と学校側から警察に連絡が入った。誰かが警告メールを学校に送ったのである。



「かくれんぼ」ならば辻褄が合う。酔った勢いでかくれんぼを始め、シュートの中に隠れようとでもして、そのまま落下し、打ち所が悪く、不運な事故で亡くなったのかもしれない。

けれど、それならば何故誰も証言しないのだろうか？何故皆黙っているのだろうか?
何かが起きて死んでしまったジョンを誰かがシュートに投げ入れたのかもしれない。

殺人か、事故か、自殺か。夜中のかくれんぼ。ジョンにとってのオニは誰であったのだろう。
終わらないかくれんぼの捜査は続く。



MAYU