●更新日 11/11●

依頼者なのに…


「マンションの前に車を止めていたら傷つけられた。犯人を捜して修理代を請求したい」
と興奮した声で依頼の電話が来た。

待ち合わせ場所にその車で乗りつけてきた依頼者は、自慢のポルシェを指差し、興奮気味にこう言った先には卑猥な言葉が書かれていた。

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「僕の大事な優香(ポルシェのことらしい…)にひどいでしょ、調査料金は惜しみません、一刻も早く犯人を見つけ出してください」

依頼者の家は東京都の国道通り沿い。
私は、依頼者の車の近くに自分の車を止め、息を潜めて様子を伺った。

依頼者が車で帰ってくるのは、いつも深夜3時過ぎ。
必ず女連れ、それも毎日違う女性だった。もしかして、その中に犯人がいるのだろうか?

犯人は10日過ぎても現れない。
私は、犯人に心当たりはないか、依頼者の私生活を少々聞いてみた。
依頼者は業界関係の仕事をしているバツ2の35歳。毎晩連れて来る女性はキャバクラの子で、特にトラブルもなく、心当たりは全く無いという。

『やはり張り込みしかない』
と張り込むこと6日間。

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やっと優香(ポルシェ)に接触する不信な女性を発見。
慌てて尾行すると、依頼社宅から徒歩10分ぐらいの所に住む40代の女性だった。
優香(ポルシェ)の所に戻ると、フロントガラスにジュースをかけた跡が…。
犯人はこの女性に間違いない。

そのことを依頼者に報告すると、なんとその女性は元妻の妹だった。
離婚して3年経つが、元妻(姉)が病気で寝込んでいるのを依頼者のせいだと恨んでいるらしい。
離婚の原因は依頼者の浮気。慰謝料として700万円を払ったが、「それじゃ足りない」と妹が訴え、しまいには近所に引っ越してきたとのこと。

とりあえず、私は知り合いの弁護士を紹介し調査は終了した。

結局、依頼者は15歳年上の元妻に、200万円を支払って円満に解決したらしい。
あんなに修理代を払って貰うと意気込んでいた依頼者だが、結果的にはお金を払う側の人だった・・・。



女探偵ノゾミ


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