●更新日 10/15●

パニック


いったい人はどういう時にパニックに陥るのか。

「普段の生活をしている中で襲ってきた突然の事件・事故・災害などの恐怖感や過去に実際経験した恐怖感が戻って来た時に人はパニックに陥ります」と友人の医師は言う。

10月11日水曜日。午後3時近く。自宅でのんびりしていると複数の戦闘ジェット機の轟音が聞こえ、家が振動した。
戦闘ジェットのこの音を最後に聞いたのは・・・2001年9月11日。あの日から一週間、ニューヨーク市の頭上にはジェットが飛びパトロールしていた。お腹の中に響くジェットの音はまるで戦争の中にいるようでとても怖かった。

だから、最初にこの音を聞いて思ったのは“ナゼ?”何かが起ったのだ。

テレビのニュース番組をつけてみると目に飛び込んできたのはマンハッタンのビルから炎が出ている映像−あの日と同じイメージ。
心臓が破裂しそうになった。“ナゼ?ナゼ?ナゼ?ナゼ?”

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ニュース番組CNNから流れてきた事故映像は9・11と同じで全米中を一時騒然とさせた


近くに住む友人からすぐに電話が入った。
「飛行機がビルに突っ込んで行った。みんな叫びながら逃げている。何が起ったのか解らないけど、家にいて、絶対に事故現場には来るな」と言われた。

ニュース番組はすべて事故現場の映像に切り替えられ、マンハッタンはシャットダウンされた。
戦闘機が出動、FBI,CIAも出動。警察隊、消防隊、ポートオーソリティー隊(鉄道、バス、交通を専門にする警察部隊)が出動。
シカゴ、ボストン、ロサンジェルス等の大都市の頭上にも戦闘ジェットが出動。ホームランドセキュリティーからの報告を待っていた。

20〜30分後、ニュース番組で一斉にテロの疑いは極めて薄いとの報道。事故現場の近くに住む友人に電話してみると、パニック状態になって病院で手当てしてもらったとの事。「道を歩いていたらドーンという物凄い音がしてその後、もっと凄い爆発音が聞こえた」
周りにいた人々も一斉に道にしゃがみ込んでいたそう。

この事故は意外な展開を向かえた。ビルに突っ込んで行った飛行機の持ち主は2ヶ月前にヤンキースに移籍して来たコリー・ライドル選手(34)
ライドル選手は操縦インストラクターと共にこの飛行機に搭乗していた事がわかり(操縦していたのかは未だ不明)、この事故の為亡くなった。事故の原因などはまだ解っていない。

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コリー・ライドル選手(1972−2006)

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事故現場にはファンからのギフトが置かれていた。


パニックになりかけていたニューヨーク市は落ち着きを取り戻した。
搭乗していた2人以外に死亡者は無く、重症怪我人もいない。不幸中の幸い。
テロでなくてよかったという安心感はあるものの、飛行機事故のたびにテロなのかとパニックになりかけてしまう“傷”を負わされてしまったニューヨーク。

この“傷”を自分達の手柄だと、どこかの洞窟で笑っている者達がいるのかと思うと腹立たしい。

余談だが、2006年10月11日は10・11・06。逆さまにすると9・11・01、2001年9月11日になる・・・。



MAYU


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