●更新日 10/06●

Aさんの過酷な用心棒体験


Aさん(男性)が勤めていたバーに、ある常連の男性客B氏がいた。
B氏は常に複数の女性を引き連れて訪れては豪遊していた。

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実はこのB氏、某大手人材派遣会社社長の息子
B氏自身も支社長を任されていた。

その後、AさんはB氏に気に入られ遊びに連れて行ってもらうようになった。
そのとき知ったのが、B氏の酒癖の悪さ。

「酔うと、やたらと他人に因縁をつけて喧嘩を売るんです」

Aさんが勤めていたバーを辞めると、B氏から意外なことを依頼された。

「俺の用心棒をやってくれない。月50万払うよ」

B氏も支社長である手前、酒場の喧嘩で顔に青痣を作って人前に出る訳にはいかない。
かといって酒を飲むと歯止めが利かない。
そこで夜遊びで何かトラブルがあったときAさんにフォローしてもらいたいのだという。

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喧嘩には自信のあるAさんは引き受けた。
しかし用心棒の仕事は想像していたものと違っていた。

「相手を倒すのではなく、相手を黙らせることなんです」

それもB氏に絡まれて怒った相手を力尽くで黙らせるのではなく、2,3万渡して引き下がってもらうのだ。

当然、中には引き下がらず手を出してくる相手もいる。
そのときも決してやりかえさず「気がすんだら帰れ」とこちらは決してやり返さない。
警察、裁判沙汰になると面倒だからだ。

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B氏が繁華街で店の看板を蹴ったときはヤクザがやってきた。
Aさんは1人ヤクザの事務所に行き10万円渡し、「こっちも素人じゃないんでこれで泣いてくださいよ」とハッタリをかまして難を逃れた。

元々苦労知らずで何でも金で解決できると思っているB氏は、心強い用心棒を得て無軌道ぶりに拍車がかかった。

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ある日とうとうAさんは、B氏が喧嘩を売った相手から植木鉢で頭を叩き割られ大流血。

「でも血だらけになって立ち上がったら相手はすぐ引きましたよ」

そんな根性の座ったAさんも生身の人間。
月50万とはいえ、こんなことが続いては身が持たない。
Aさんも用心棒の仕事から身を引くことにした。



リ・コウジ 写真


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