●更新日 08/31●
逆切れ被告人
判決ってのは、裁判官が決めるわけです。
裁判官だって人。
だから、法廷での被告人の態度の善し悪しが判決に影響する可能性は大でしょう。
それにもかかわらず、検察官と裁判官に立て付いて、法廷を混乱の渦に巻き込んだ被告人がいたんです。
罪名は詐欺。
被告人は64歳の男性。
前科11犯。
では、事件内容を簡単に。
保護会(刑務所出所後、仕事・住所が確保できない人を受け入れる寮)でトラブルを起こして居られなくなり、ホームレスになった被告人は、全財産である4万円を持って銀座のクラブへ。
そのクラブで3時間ほど飲食したあと会計をしようとすると、請求された金額は12万円であった。
所持金の足りない被告人は、なぜか残高500円ほどの銀行のキャッシュカードを出して店外へ逃走しようとしたところを逮捕された、という事件。
いわゆる無銭飲食ってやつですね。食い逃げ。
立派な詐欺罪なんです。
で、全面的に罪を認めている被告人に対し、女性の弁護人から被告人質問です。
弁護人「あなたは4万円ほど持って入店したわけですが、会計が4万円以下なら支払うつもりだったんですよね」
被告人「もちろん、そのつもりでした」
支払う意思はあったと主張です。
これに納得いかないのが検察官。
検察官「あなた、取調べの時に“銀座で豪遊すれば10万円以上になると思って入店した”って答えてますよね。最初から食い逃げするつもりだったんでしょ」
被告人「会計みたら10万円超えてたから払えなかっただけですよ」
検察官「4万円で足りると思ってたんですか?」
被告人「なんでそんなチマチマと聞かれなきゃいけないんですか。俺が否認してるならわかるけど。スミマセンって罪を認めてるんだからいいじゃないか」
急に逆切れですよ!!
検察官はひるまずに、
検察官「足りると思ってたのか聞いてるんです」
被告人「もう答えない!」
今度は黙り続ける被告人・・・
困った顔した裁判官が、
裁判官「支払う意思がなかったということで裁判にかけられていますから、重要なんですよ」
と、忠告です。
被告人「でもね、あんなにいろいろ言われたらね」
興奮気味にまくし立てる被告人の言葉に、泣きそうな顔した弁護人が、
弁護人「ちょ、ちょっと待って!あなたは悪いことしたと思ってるんですよね」
被告人「最初から言ってるじゃないですか」
弁護人「えーーとぉ、あれ?私も混乱してきちゃった、えーーーーとぉ」
頭を抱えだす弁護人。
弁護人「あなたは4万円は持ってたわけで…」
裁判官「あのぉ、まだ質問続けます?」
これ以上続けても仕方ないよと裁判官がアドバイスですよ。
そして、大混乱の法廷を鎮めるようにやさしい声で、裁判官からの質問です。
裁判官「もし代金が4万円だったとして、明日からどうするつもりだったんですか?」
被告人「どうっていわれてもね、どうしようもないわけですよ。明日事故で死ぬかもしれないし、道端で金拾うかもしれないわけですよ。ぶっちゃけていうと、裁判官みたいに、お堅い職業の人に言ってもね。わかんないですよ!」
裁判官「んーーーー、はい、わかりました」
裁判官も聞き流してました。
こういう態度って、自分の首絞めているようなもんだと思うけどねぇ。
では、今回はこれにて閉廷!
阿曽山大噴火
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