●更新日 07/01●
裁判傍聴記 〜日程のふしぎ〜
前々回にも告知させていただいた新宿ロフトプラスワンで行われた
「裁判傍聴のススメ〜被告人の裏側全て話します〜」の話。
観に来てくれた方は分かっていると思うけど、証人(ゲスト)である染谷栄さんの話の内容がスゴすぎた。
この人はニュースで使われる裁判の絵を描く、法廷画家なんだけど、東京に13人しかいないという非常に珍しい職業なんですね。
しかも、93年から13年もやられている古株。そりゃあ、話は尽きないわけですよ。
初公判から判決まで、すべての公判で絵を描いたというオウムの麻原の話。
他にも田代まさしやニセ有栖川などの法廷画の原画。
被告人に関するなんかもあったけれど、それだけでなく、持ち込んだ唯一の鉛筆が折れて、歯で鉛筆を削った苦労話などなど。ほんと、話の内容は圧巻でした。
で、その染谷栄さんが
「日本の裁判は長すぎる。次回公判期日をその場で決めるのはいかがなものか」
と、問題提起してたんですよ。
長年裁判傍聴していると、感覚が鈍麻して何も思わなくなってしまってるんだけど、
あれは確かに変だなぁ。
その日のうちに、裁判が終わらなかった場合、
公判の最後に裁判官が空いている法廷のスケジュール表を見ながら、
弁護人、検察官の都合を聞いて、次回の日程を決めるんです。
事前に日程が決まっている場合もあるけど、その場で決めるのがほとんど。
今回はそんな、次回公判期日を決める際の話。
後にも先にも一度しか見たことない、呆れてしまう傍聴記です。
その日の公判が終わり、裁判官が、
裁判官「では、ご都合をお聞きします。1月の24日はあいていますか?」
弁護人「その日は終日他の裁判所におりますので」
裁判官「じゃあ、1週間後の1月31日の午前はどうですか?」
弁護人「午前11時から別の公判が入ってますので10時からなら可能です」
検察官「その日は公判が入ってますね」
裁判官「検察官が駄目ですか…、じゃ、2月の7日はどうです?午後ですけど」
弁護人「午前なら空いているんですが」
裁判官「いや、午前中は法廷が空いていないんですよね、うーーん」
と、法廷内には手帳やスケジュール表をペラペラとめくる音だけが鳴り響くだけで、次回の予定が全く決まらないんです。これだけで10分近くたってるんですよ。
裁判官「ちょっと先になりますが、2月14日はどうでしょうか?」
弁護人「午後ならば」
裁判官「検察官は?」
検察官「はい、お受けいたします」
と、決まりかけたそのとき、手をゆーーっくりあげる男が一人。被告人です。
被告人「あのぉ、その日はちょっと予定が…」
みんな心の中で
「お前のための裁判だろうが!」
と、つっこんでいたに違いないでしょう。
しかも、よりによってバレンタインデーに予定あるって言われてもなぁ。
それって、デートじゃないの?って思われても仕方ないね。
次回期日に被告人が異議申し立てるのって、このとき以外見たことないです。かなりレア。
裁判官も困った顔しながら、別の日探してたからね。
ほんと、こんな決め方でいいのかよ。
染谷さんが問題視するのも当然だな。
もちろん、今現在もこうして次回の公判期日を決めているのが現状なんだよね。
変なの。
では、今回はこれにて閉廷!
阿曽山大噴火
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