●更新日 06/24●
優しい泥棒さん裁判!!
毎回事件や被告人の発言にスポットライトを当てているので、たまには弁護人に注目して書いてみようかな、と。
被告人が否認してる場合は争うのが弁護人の仕事なんだけど、被告人が罪を認めている場合は情状をするわけです。
できるだけ刑を軽くしてくれと。
「罪を犯したのは悪いけど、こういう理由があったんですよね」
という事件に関係する情状はもちろん、
「幼い頃に両親が離婚して大変だったんですよね」
といった生い立ちに関する情状や、
「刑務所に行ったら、仕事ができなくなって、あなたの家族は困りますよね」
といった執行猶予を乞う情状までさまざまです。
そんな中で、バカバカしい情状をした裁判の話を。
被告人は、40歳代の男性。罪名は住居侵入、窃盗。
早い話が空き巣。
同種前科も多数あって、この被告人は空き巣のプロなんです。
事件は 留守中の家に忍び込んで、ネックレスを盗んだという内容。
そして、裁判は20代と思われる若い弁護人からの被告人質問です。
弁護人「起訴状の内容に間違いないですか?」
被告人「はい、間違いありません」
弁護人「今までにも、同じように空き巣をやっていたようですが、被害者宅には長時間いるもんなんですか?」
被告人「家の人が帰ってくる可能性が高くなるので、長い時間はいません。5分程度です」
“長居はしてませんよ”という情状なんでしょう。
弁護人「あなたは鏡台に置いてあったネックレスだけを盗ったわけですけど、他は物色しなかったんですか?」
被告人「いえ、してません」
弁護人「そうですか、実は被害者の方はタンスの中にとても大事にしていた和服を入れていたそうなんです」
「被害者の方は、≪命の次に大事な服に手をつけてなくて、優しい泥棒さんだな≫って言ってましたよ」
これはすごい情状でしょ。
被害者の大切にしていた物に手を触れなかったのはラッキーパンチだったってわけです。
さ・ら・に
弁護人「あなたはネックレスを盗るときに、ペンダントヘッドをはずして金のネックレスだけを盗んでますよね」
被告人「はい。金だったので。他の部分は価値ないなと思って。ペンダントヘッドはとりはずしました」
弁護人「これも被害者の言葉を借りると、≪あのペンダントヘッドは、新婚旅行のときにイタリアで購入した物で、替えがきかない。ネックレスは他の物で代用できるからいいけど。ペンダントヘッドを置いといてくれてホッとしています。ホントに優しい泥棒さんですね≫と述べてるんですよ」
これまた驚きの情状っていうか、結構呑気な被害者に思えるんだけどね。
何度も、“優しい泥棒さん”とおだてられて照れ笑いしている被告人に対し、検察官が・・・
「和服の場所もペンダントヘッドの価値もわからなかっただけでしょ!」
と、一喝してました。そりゃ、そうだ。
どんな悪いことした人でも、弁護してもらう権利はあるわけだから、弁護士って仕事も大変だよなぁ。
では、今回はこれにて閉廷!
阿曽山大噴火
|