●更新日 06/18●
まなみの日記 〜決断の時〜
依頼者は、中堅商社にお勤めのNさん(42)
20年近く勤続されている会社を辞めようかどうか迷っておられます。
相談に来られる2週間前に、大手商社のM社からヘッドハンティングされていたんです。
Nさん曰く、これまでの自分があるのは現在の会社のおかげ。
でも、自分を高く評価してくれるM社で目一杯やってみたい・・・。
2つの選択肢にNさんはずっと迷っていました。
先方への回答期限まで、あと2週間。
Nさんの依頼とは・・・・・
「自分のことを調べてください」
本当の自分の評価を知りたい。
「私は、この会社に必要とされているんだろうか?」
社員はもちろん、取引先の評判も知りたいんだと・・・。
調査期間は平日のみの7日間
依頼者にとっては人生の岐路に立たされたわけです。
調査結果次第では、この先の人生が一変するやもしれません。
調査対象者=依頼者という変わった調査を開始したのです。
まずは、取引先から着手しました。
中堅商社と言っても、かなりの数の取引先があります。
その中でも、取引実績が多い数社に絞り込んで調査をしました。
同業他社の営業になりきり、まずは得意先に聞き込みを・・・。
「当社はA社(Nさんの会社)と永年取引しているんで、新たに契約は出来ませんよ」
「Nさんにはよくしてもらっているんで・・・・・A社を切る事は無理です」
問題のヘッドハンティングしようとしているM社では
「実力もあるし、(Nさんに)うちに来て欲しいと思っているんですよ」
つぎに、仕入先の調査です。
「Nさんは、無理な納入も何度か引き受けてくれて、倒産の危機も回避させてくれました」
「A社とは、担当がNさんじゃなかったら取引していません」
「もしNさんが他社へ行かれたらその会社で取引したいです」
これまで5日間の調査で、お客さんからの信頼は絶大でした。
残り2日間は、社内での調査。
わたしは、生命保険の外交員に扮し、社内へ潜入しました。
「なんか自分だけで仕事してるみたいで・・・」
「あまり利益にならん仕事を取ってくるんだよ」
「あの人がいる限り、自分の出世はないかも」
OLさんの間では・・・
「Nさんの下では、残業ばかりでイヤです」
「なんか、口うるさくてコワい人ですよ」
取引先での評価とはまるっきり反対でした。
自分(自社)には厳しくしているだけなのに・・・。
調査報告書に目を通し終えたNさん。
「調査してもらってよかったです!」
複雑な表情でお帰りになりました。
Nさんが転職されたと聞いたのは、1ヶ月後のことでした。
まなみ
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