●更新日 07/22●

日本刀売買のアレコレ


近年、『ラストサムライ』の大ヒットなどから、日本刀を購入しようとされる方が増えました。
昔に比べ、インターネットの普及から、日本刀も手に入れやすくなったと思います。
しかし、その日本刀はホントに良いモノなの?
と言う事で、日本刀の事に詳しい方にお話を聞いて参りました。





●考え方

”刀についてどう考えているか?”によって答えは変わって来ます。
まず、刀に係わる人は3種類います。「買う側」「売る側」「造る側」。
お店や、ネットで買おうとしている方は勿論、「買う側」になります。それが、ただ”日本刀と言うモノが欲しい”と言うのでしたら、お財布と相談して決めればいいでしょう。
ですが、”本当に良い品”を買いたいのでしたら、全く考え方を変えなくてはなりません。
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●良い品を買いたい時の注意点

まず、目利きが出来る方や、関係者などは、100万以下の日本刀は買いません。何故なら、”100万以下の刀は刀と思っていない”からです。
100万円以下の日本刀は名ばかりで、習作やクズ刀なのです。はっきり言って、論外。掘出し物なんてものもこのランクではありません。
このような事態(論外の刀に値が付いて売られている)のは何故か?
「売る側」、日本刀を取り扱うこの場合はつまり「古物商」と言う事になりますが、この古物商は相手により高く品を売らなければ儲けになりません。勿論、良心的な古物商もいますが、その大半は儲けの事を優先している方ばかりなのです。これは商売ですから、とやかく言える事ではありませんけどね。
例えば、30万で売りに出されている日本刀があるとします。この原価はいくらだと思いますか?
実は数万どころか、作刀家からしてみれば値が付けられない廃棄処分にするようなモノなのです。

本物の研ぎ師の研ぎ料金が、最低でも20〜40万です。そこから考えると、数十万程度では価値が全く無い事が解ると思います。


●鑑定書・折り紙付きなどについて

よく鑑定書付き、折り紙付きと言って、売りに出されている品がありますが、あれも全く当てになりません。
「鑑定書」は、手続きだけで簡単に取れるものです。その人が造ったというだけで、刀の質などには全く関係がありません。
また、「折り紙」や「鑑定」が付いていたとしても、良い刀という証明にはなりません。
鑑定書の価値が本当に出て来るのは、数千万円の品の世界の話です。数十万程度で、鑑定書がどうなどと言おうものなら、詳しい人間に笑われてしまいます。
また、「重要刀剣」というモノもありますが、これは、”古い品である””今も残る昔の品である”と言うだけで、”良い刀”と判断するものではありません。
ですから、鑑定書・折り紙付きなどで、「信用出来る」と鵜呑みにするのは軽率と言えるかもしれません。
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●値段と質

良い刀を欲する方は、やはり、”古くて、銘のある名刀”を求めやすいですが、これも注意。
鑑定書などが簡単に取れる信用するに値しないモノである事は上で述べましたが、値段と質の関係にも注意すべきなのです。
刀は、関が原の戦い以前を『古刀』それ以降を『新刀』明治前後を『新新刀』そして、この時代の物を『現代刀』と分けられます。
問題は、この古刀、新刀、新新刀ですね。
例えば、ここに古い刀(古刀・新刀・新新刀)と現代刀があるとします。その現代刀と同クラスの古い刀を選ぶとすると、現代刀の値段に3倍以上の値が付けられたモノが、同じ程度の古い刀と言えるでしょう。
現代刀と違って、古い品は造った方(鍛冶師)が存命では無いのですし、鑑定も難しくなってくるので、売り手の自由に出来るのです。
新刀などの本当の名刀となると、1000万以上で値打ちものが探せるくらい。それくらい値と価値を見分けるのは難しいのです。
また、今はありませんが、昔は銘を変えるなんて事もありました。
新撰組の近藤勇の持つ刀の銘は『虎徹』と言われていますが、あれは当時最高の現代刀だった『清麿』の銘を入れ替えたモノだったと言う話も有名です。
「銘や鑑定書があるから……」と、数百万出して買った品が全くの偽者だったなんて、ざらです。素人には区別が付きませんからね。その為に、泣く泣く集めるのを止めた日本刀収集家も多いのです。




最初に戻りますが、刀をどう考えるか?
日本刀であるというだけなら、安い品を。
質で選ぶのなら、現代刀を。
古い名刀となると……まずは信頼出来る専門家が必要になってきます。
どれを選ぶかは買い手次第ですが、見栄を張りすぎて尻に火が付かないようご用心を。



探偵ファイル・キム



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