〜 新聞奨学生の憂鬱 〜 様々な業界で働く人がいます。ですが、その業界に身を置く者にしか解らない裏話も沢山あります。興味があっても、「実情はどうなんだろう?」という不安を持つ方々の質問にお応えするこのシリーズ。 今回は、新聞配達をして奨学金を貰い勉強をしている『新聞奨学生』のお二人に話を聞いてみました。Aさんは大学の工学部の4年生、Bさんは音楽の専門学校に通っているのだそうです。 一体どんな憂鬱があるのでしょうか? (▲写真はイメージ画像です) ―――新聞奨学生制度を知ったきっかけを教えてください。 Aさん:高校の進路指導で紹介されて、説明会に参加しました。 Bさん:最初は普通のバイトをしながら専門学校に行こうと思っていたんです。でも、なかなか時間の都合の良い所が見つからず、色々な所の面接を受けていたのですが、その時にこのような制度がある事を教えてもらいました。 ―――1日のスケジュールはどのような感じなのでしょうか? <Aさんの場合> 3:00 起床 3:30 営業所に到着→配達準備 4:20 配達開始 7:00 配達終了→そのまま大学へ 8:30 大学に到着。朝食。 9:00〜16:00 授業→終わったらすぐに営業所へ 17:00〜20:00 集金 21:30 就寝 Aさん:研究室に入っているので、大学が終わる時間はまちまちです。早ければ16時過ぎには終わるのですが、遅い時は家に着くのが日付が変わる頃という事もあり、全く寝られないことも・・・。 <Bさんの場合> 3:30 起床 3:45 営業所で配達準備 4:30 配達開始 6:30 配達終了→帰宅して朝食を取って休憩 9:30 学校へ 10:00〜14:00 授業 14:30 夕刊の配達 16:15 配達終了 17:00〜20:30 集金などの付随業務 22:00 就寝 Bさん:朝刊・夕刊・集金、フルにやっています。仕事の合間に休憩が取れるのでましな方ですが、それでも学校が休みの日はほとんど寝て過ごします。 ―――このお仕事の魅力は? <なんといってもお金!> Aさん:奨学金が貰えるのは非常にありがたいです。奨学金とは別に給料も貰えるのですが、それも普通のバイトよりも高いです(営業所によって変わってきますが、だいたい時給1,000円以上)。また、会社が寮を斡旋してくれたり、食事を用意してくれたりするのも、助かっています。 <時間も大事> Bさん:夜間部の無い学校は、勉強しながら働くのが難しいです。夜の仕事は、拘束時間が長いものが多いので、寝る時間が取れないからです。その点、新聞配達の仕事は、早朝と夕方の短時間ですむのがいいですね。 <評価は・・・?> Aさん:説明会ではよく「新聞奨学生をやっていた事は、就職の際に評価される」と言われているのですが、その新聞社に就職するのならともかく、その他ではあまり聞いた事がないです・・・。 ―――逆に、このお仕事の大変な所は? <無い無いづくし> Aさん:寝る時間が無い・休みが無い・雪でも嵐でも関係無い・・・。新聞配達の仕事だけでも大変なのに、その上学校もあるのですから、相当な覚悟が必要です。 <人付き合いが悪くなる> Bさん:休みの日が無いし、生活のリズムが普通の人とはずれているから、友達と遊ぶ事ができずどんどん疎遠になっていきます。遊びに行くにしても、必ず終電までに帰らないといけないから、選択肢は少ないです。 Aさん:帰ったら寝るだけ。遊びに行く気力なんてありません。 ▲夜遊びなんてできません!(写真はイメージ画像です) ―――新聞奨学生になりたい人へのアドバイスはありますか? お二人とも、“色々な新聞社の説明会に行ってみる事!”と強く言っていました。その理由はというと・・・ Aさん:理系の大学の場合、3・4年になって専門課程に入ると学校が終わるのが遅くなり、夕刊の配達が難しくなってくるので、あまり雇ってくれる所はありません。ですが、新聞社によっては夕刊無しや集金無しなどのコースを用意してある所もありますし、そういったコースを用意してない会社でも相談に乗ってくれることもあるので、できるだけ多くの説明会に行くのがいいです。 Bさん:夕刊・付随業務の有り無しだけでなく、奨学金の額も新聞社によって大きく差があります。私立大や専門学校の中でも学費の高い所に行きたいと思っている人は特に、色々な新聞社の説明会に行って、制度の差を比べてみるといいでしょう。 ▲複数の奨学会を比較するのが吉。 ―――裏話などがあれば教えてください。 Aさん:説明会に行くことは大切ですが、そこで聞いた事はあくまで参考にしかなりません。「交代員がいるから、月に○日休みがある」なんて言ってたのに、実際は交代員はとっくの昔に逃げていて、一年通して休みは片手で数えられるだけ、なんて話はよくあります。 Bさん:奨学金制度の充実度は発行部数に比例します。発行部数一位のYは、学費の支給額でもおそらく一番でしょう。しかし、仕事の大変さもこれに比例します。新聞奨学生に限った話ではありませんが、Yを筆頭に、AやMは販売競争が激しく、お客さんとのトラブルの話をよく聞きます。 Bさん:会社の用意してくれた寮に住めるのは便利なのですが、病気が流行ると大変な事になります。冬のインフルエンザも怖いのですが、ある年の梅雨、寮内がカビだらけになってしまい、寮に住んでいる人全員、変な咳をしてました。交代員なんていませんから、治まるまで一ヵ月もその状態が続き、その時の状況は正に修羅場でした。 Aさん:奨学金を出してもらえるのはありがたいのですが、途中で辞めようとするとそれまで貰ってきたお金を即時返還しなければなりません。ですから、辞めたくても辞めれません。中途半端な覚悟では絶対に後悔します。新聞奨学生制度を利用する人は、本当に自分に出来るのか、これ以外に方法が無いのか、よく考えて決めて下さい。 以前、「新聞屋さんの憂鬱」で新聞配達の大変さを紹介しましたが、彼らは仕事をこなした上で学校にも行っているのですから凄いですね。 取材に協力してくれたお二人だけでなく新聞奨学生の皆さん、体を壊さず、仕事に勉強に頑張ってください! ( 探偵ファイル・千明 ) |
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