現代の男の病?

〜 世の男性への警笛・慢性前立腺炎 〜



最近、男性の間で密かに流行っている病気があります。

病名は『前立腺炎』。

名前の通り、前立腺(注1)に炎症が生じる男性特有の病気です。
あまり耳にしない名だと思いますが、実はこの病気に掛かっている方は驚く程存在するのです。
どのような症状かと言いますと、男性器に鈍痛が走る・残尿感がする・何かもやもやしてはっきりしない・膿状の体液が分泌される等です。 (症状についての詳細は下記サイト参照)
実際に、この病気に掛かったという都内に住む28歳の男性Nさんは、病名発覚に到るまでの経緯をを次のように話しておられました。

実はですね、その頃仕事でストレスが非常に溜まっていたので、彼女がいるにも係わらず、頻繁に夜遊びばっかりしていたんですよ(笑)。
で、ある朝起きてからトイレに行ったら、物凄い激痛に襲われたんです。
それでギュッと握ってみたら膿が出ましてね、こりゃあ噂のクラミジアじゃないかって真っ青になっちゃいましたよ。 心当たりはいっぱいあったんで。
しかも、彼女とHした次の日だったので、こりゃ彼女の為にも直ぐに病院に行かなくちゃと思って、恥ずかしかったんですけど泌尿器科へ行きました。

尿取ったり、尿道口にプレパラートみたいなものをつけて体液を採取したりしました。
一週間後に検査結果が出るって言われて、覚悟して行ったら、細菌は全く検出されなかったから“慢性前立腺炎”だろうって言われました。聞いた事無かった病気ですから、なんじゃそりゃって最初は思っちゃいましたね

こう語るNさんの場合、原因は不特定多数の女性との性行為ではなく、職場のストレスではないかと診断されたそうです。 現在は薬治療中だそうですが、元気一杯に答えて下さりました。 このNさんの様に、泌尿器科で診断された結果、『前立腺痛(プロスタトディニア)』だったというケースも数多い。
しかし、症状が軽度である為に下腹部に不快感を感じても、「気のせいだろう」と放っておき、身体の不調の為にストレスを溜め、更に症状が悪化する方や、中には精神科に通うようになる方もいるという。

調査員はこの病気の権威である東海大学医学部付属東京病院・泌尿器科の松下一男教授にお話を伺う事が出来た。(以下、松下教授と調査員による)


写真1
松下一男教授



―― 前立腺炎にも種類があるそうですね?
そうです。 「急性細菌性前立腺炎」「慢性細菌性前立腺炎」「非細菌性前立腺炎」「前立腺痛」ですね。
“細菌性”のものは、その名の通りに細菌によって発病するものです。
細菌とは、マイコプラズマ、クラミジア、大腸菌、ブドウ球菌、淋菌などが挙げられます。
これらの細菌は性行為で移る場合だけでなく、ご自身の大腸菌が尿道を通って、前立腺に到る事も考えられます。

大腸菌などは誰でも持っている菌なのです。
“急性”の場合はこの細菌が爆発的に繁殖して高熱を引き起こします。
一週間くらいは入院してもらう事になりますね。
“慢性”の方はこの繁殖の具合が緩やかである訳なのです。
ですが、ほとんどの場合は細菌を培養しても発見されず“非細菌性”に分類される事になります。

と言うのも、クラミジアなどに感染していても、このクラミジアの菌というのはとても弱いもので、体外に出た瞬間に死滅してしまうのです。
ですから、検出されなかったとしても体内に潜伏している可能性があります。
“前立腺痛”の場合は、細菌とは全く別の理由でかかります。
今回はこの前立腺痛についてお話しましょう。

―― 簡単に症状を教えて頂けますか?
下腹部(性器、脚の付け根、会陰部分)の鈍痛、不快感などですね。
尿の状態や回数には異常はみられません。
なんとなく調子が悪いという不定愁訴(注)も多いですね。

―― どのような方がなりやすいのでしょうか?
デスクワークや車の運転などで長時間座っている人や、運動不足の人、飲酒が多い人、ストレスが溜まっている人に多いですね。 性格としては、神経質な人、真面目な人に多くみられます。

―― これは昔からある病気なのでしょうか?
あります。 これは確かです。 しかし、昔はこの病気の事がはっきりしていなかった為に原因不明とされる事が多かったようですね。 診断・治療法などが確立されたのは僅か10年前なのです。

―― 米では非常に多くの男性が掛かっているそうですが、やはり日本人にも多いのでしょうか?
多いですね。 アメリカでは、泌尿器科に来る患者の半数がこの前立腺炎なんですよ。
また、ヨーロッパでも多いです。特に先進国と呼ばれる国では多いですね。
ですから、日本も例外ではありません。

―― 昔に比べて日本での前立腺炎患者の数は増えましたか?
増えていますね。アメリカのようにどんどん割合を増しています。

―― これはもう現代病と言っても過言ではないのではないでしょうか?
う〜ん、そうかもしれませんね。

―― 日本人男性のうち、潜在的な患者はどのくらいいるのでしょうか?
正確な数値は解りませんが、かなり多いとだけ言っておきます。

―― どの年代の男性に多いのでしょうか?
30代〜50代ですね。 20代は稀。 10代の若者には無いでしょう。
というのも、10代の若者の前立腺は未熟な為です。 前立腺も性器の一部ですから、完全に成熟した大人しか発病しないのです。

―― どのような職種の男性に多いのしょうか?
サラリーマン、銀行員、教師など。 やはり、あまり動かないで仕事をしている人に多いです。

―― 今までどれだけの患者さんを診られましたか?
数え切れませんね(笑)

―― 前立腺マッサージが効果的と聞いたのですが、やはり先生もマッサージを?
ええ。その必要がある時はやりますよ。


写真2
この指で何百人もの…
http://www.ne.jp/asahi/prostate/psa/n/pritis2.html のマッサージの画像


―― 性行為は良いと聞きましたが?
その通りです。 適度に射精をした方が良いですね。
何故かというと、悪い菌や古い精液を溜めておくと、それだけ前立腺の能力を低下させてしまうからです。 ですから、出さないより出すほうが良いですね。 やり過ぎは良くありませんが。

(調査員心の声:Nさんはストレスとこれが原因だな…)

―― この病気にならない為には、どのようにすれば良いのでしょうか?
不規則な生活をしない事。 運動不足にならないように体を動かして下さい。
それがダメならせめて歩く事。 あと、ストレスは大敵ですね。 気晴らしなどをして、なるべくストレスを発散すると良いでしょう。 そうそう、自転車やバイクに長時間乗っている人は気を付けて下さいね。
特にマウンテンバイクに乗る人は要注意。振動などが直接前立腺に伝わりますから、ゴリゴリと。
振動なども良くないです。

―― 最後にこのコメントを読まれている方に一言
慢性前立腺炎と診断された方へ。 慢性前立腺炎は治りにくい病気の為、治療は長期間を要します。
ですが、必ず治る病気でもあります。 担当医を信じて、しっかりと完治させるようお願いします。



男性の皆様を心配させてしまうような内容となってしまい申し訳ありません。
ですが、この記事を読まれて心当たりがある方や、今まで誰にも言えず悩んでいた方もいらっしゃるのではないでしょうか? 泌尿器科へ通う事は少しも恥ずかしい事ではありません。 松下教授の言にもあるように、医師の方を信じて打ち明けてみてはいかがでしょうか?

松下教授、お忙しい中、時間を割いて頂きありがとうございました。
また調査員を松下教授へ紹介して下さった小川診療所の小川正見先生、ご協力ありがとうございました。


注1:前立腺(ぜんりつせん)…男性の生殖器の一部。膀胱の下部に位置する。クルミほどの大きさ。
注2:不定愁訴(ふていしゅうそ)…原因が無い、または解らないのに体の不調を感じる事。


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