読者からの指令・舟岡山公園を調査せよ!

〜 京都にある、強姦スポット 〜



今回は、読者から指令をいただいた。

いつも感心したり楽しんだりしながら拝見させていただいている者です。 指令をお願いしたいのですが…。 内容は私が現在住んでいる所のすぐ側にある京都府京都市北区にある『舟岡山公園』なのですが、地元の一部の人から聞いた所「絶対に行ってはいけない」と言うのです。 北区は治安がとても悪く強姦魔のカッコウの強姦場所になっているというのです。 しかし、別の人に聞いてみると「知らない」と言うし…。 私は時々夜遅くに舟岡山公園の近くの道を通るのでとても心配でドキドキするのです。(街灯もほとんど無いに等しい) 本当に強姦魔の巣窟になっているのか調べて欲しいのです。 夜はいつも公園の入り口近くに怪しげな車が数台止ってます。 是非よろしくお願いします
(ハンドルネーム・ちび様より)

とりあえずこの公園について簡単に集めた情報によると、この公園は隣接した "建勲神社" と一緒に "小丘をひとつ丸ごと公園にしてしまったような形" で、かなり広い敷地をとっている。


写真1


噂について聞き込みをすると...
    ●夜はすごく暗い場所なので、地域の不良たちの溜まり場になっている【犯罪スポット説】
    ●なかなか立派な大きな公園で、親子連れなどがよく遊んでいる観光名所【観光スポット説】
    ●夜景がとてもきれいで、アベックがよくデートしている【デートスポット説】
    ●お化けがでる。妖怪が集まるといわれている【心霊スポット説】
と、いくつかに評価が分かれた。
実際に現地に行ってみる。


写真2 写真3
周辺の道路・チカンにご用心の看板が


公園の周りを1周したところ、周辺はおおむね住宅街になっていた。
なるほど、確かに街灯が少なく暗い道が多い。 「痴漢に注意」の看板もあちこちに見受けられる。
女性が一人歩きするには向かない通りだろう。
とはいえ、住宅街であるので、女性が「キャーッ」と一声叫べば、すぐに「なんだなんだ」と人が集まってきそうである。 ただ、この付近の人がそうだというわけでもないが、最近はそういった助けを求める悲鳴とかにも無関心な人が多いということである。(面倒を嫌って無関心を装っているのかもしれないが)

とにかく、公園の中を散策してみる。とても暗い。
所々に街灯が備えられているが、ほとんどが闇の中である。それに、とても静か。
道路を行きかう車の音もここまでは聞こえてこない。
時々、“ガサッ”と木々のなる音や、“バタバタッ”と鳥やセミの羽ばたく音が聞こえる以外は、一人で歩く自分の足音が響くだけである。


写真4
公園内にも看板が
写真5
公園頂上の広場からの夜景
写真6
赤外線撮影


犯罪スポットとしては、暗くてひと気がないけれど周りに民家が多すぎる。
デートスポットとしては、夜景がきれいだけれど暗すぎる。
雰囲気的には心霊スポットというのが1番当てはまるだろうか?


写真7
神社が近いせいか、所々にお地蔵様が


ふと歩いていると、“シャリ、シャリ、シャリ……”
と耳慣れない音が聞こえてくる。木々の鳴る音でもなく、人の足音でもない。
坂の上の闇のなかから“何か”がやってくる音

「シャリシャリシャリシャリシャリシャリ」


写真8
警官!


警官「なにやってんの、こんなとこで?」
……ちょっと怖かった。何故、わざわざ単車のエンジンを切って坂をおりてくるのかを訊ねる。

警官「この公園は、このとおり静かだし、周りが住宅街になっているだろう?エンジンをかけて走る
   のも気が引けるんだよ。」

とのこと。少し話を聞いてみる。

警官「強姦事件というのは、聞いたことがないなあ。時々この付近で車を止めて、車内で話をしている
   男女がいたりするから、注意はしているけれど。その他は、若い連中がたむろする場所にはなっ
   ているみたいだね。ロケット花火を打ち上げて遊ぶ連中がいて、近所から“うるさい”って苦情
   がよくある。だけど、“犯罪者の巣窟”とかいうのは、どうかなあ。10年くらい前に警官が殉職
   した場所ではあるんだけれどね。それ以降は特に凶悪犯罪も起こってないようだし。まあ、ご覧
   の通り暗くて大きな公園だから、女性が一人歩きするのは、到底お勧めできないけど、格別“犯
   罪多発地域”というわけではないと思うよ。」

その後、明け方まで見回ってみたところ、学生らしき若者たちがたむろし、大きな声で話しをしている様子などを見かけました。


写真9 写真10
たむろする少年達


翌日、公園周辺にて取材を行なう。

公園管理事務所の方の話...
「夜は柵を立てて、車は入れないようにするんですが、一応公園ですので出入りは自由になっています。だから、若い人が深夜に騒いで近所の方に迷惑をかけて、といった話は時々あります。しかし、10年以上前に警察官が殺されたという事件があったそうですが、最近は特に事件があったとかは聞きませんねえ。そういった事件があれば、警察から私どもの方に連絡が入るんですが、そういったものもありませんし。ただ、自殺者は年に1回は出るんですけれどね。林の中で首を吊っているのが、翌朝発見されるという形で。」

付近住民の方の話...
「シンナーを吸ったりする奴がよくたむろしてるという話は聞きますよ。不良っぽい奴とか、暴走族みたいな奴とか。でも、それはここに限ったことじゃないと思いますよ。夜の公園だから、まあ、いろんな奴が来てるみたいです。演劇をやる人が練習してたり。」

「強姦については、昔よくやってたって話は聞いたことがある。車に連れ込んだ女をここまで連れてきてヤルんだって。最近はどうか知らないけれど。そういえば、半年くらい前にも一回あったんじゃないかな。」

また、20年以上この公園の傍で暮らしていて、この公園周辺のことに詳しい方に話を聞くことが出来た。

「強姦魔の巣窟?犯罪スポット? 誰だ、そんなこと言ってるのは? 僕は生まれて20年以上この公園の隣に住んでいて、毎晩この公園に入っているけれど、強姦事件に関して言えば、半年くらい前……春先だったかな……に裸の女の人が助けを求めて走ってきたことがあって、そのときはびっくりしたけれど、記憶にあるのはそれだけだな。 強姦多発地帯とかそんなことはないと思うよ。 ただ、自殺者は毎年のように出てるみたいで、そのせいか“心霊スポット”になってるとかいう話もあるけれどね。 稲川淳二も来たことがあるよ(笑) 事件といえば、だいぶ昔に警官が殺された事件があって、そのときは大騒ぎになったけど、それだけだよ。 最近は、出入り口の近くの広場に浮浪者が住みついてるけど、特に悪いことはしていないようだし。 暴走族が溜まることはあるけれど……実は、その暴走族の総長とは知り合いでね。 強姦とか、そいういうことはしない連中だよ。 最近は活動していないみたいだし。 まあ、確かにね。暗い通りだし、暗い公園だし、女の人が怖がるのも無理ないと思うよ。 僕も小学生くらいの時は怖かったもの。 学校の先生に“変質者が出るから早く帰りなさい”とか言われてたこともあったし。 実際、不審者とか痴漢も、時々でるようだし。 さすがに、こういう立地だから安全地帯というわけにはいかないよ。 “安心して通りなさい”とは言えないな。 確かに、そういう痴漢とか不審者には注意が必要だと思う。 この辺りは、原付にでも乗って、サーッと通り過ぎることをお勧めするよ。 けど、“犯罪者や強姦魔の巣窟”とまでは言いすぎだ。(笑) 地元の人が聞いたら気を悪くするよ。」

取材中に再三聞いた「警察官の殺害事件」については、下のような新聞記事が。

写真11 写真12 写真13

1984年(昭和59年)9月4日、郵便局強盗で逮捕され出所したばかりの京都・西陣署の元巡査部長「広田雅晴」が、船岡山公園を警ら中の西陣署十二坊派出所勤務の鹿野巡査を襲いピストルを奪って射殺。 更に、事件発生から3時間後、犯人「広田」は大阪のサラ金業者を襲い、奪ったピストルで店員を射殺して現金を強奪。 翌日5日に逮捕された。 ※京都では「広田事件」と呼ばれた有名な凶悪事件である(犯人「広田」は平成9年、最高裁で死刑が確定)

取材結果をまとめると...
    ●10年以上昔、警察官が殺害されるという事件があった
    ●半年ほど前に、強姦(未遂?)事件があった(らしい)
    ●毎年のように自殺者が出る
    ●深夜たむろする若い連中が多い
    ●立地条件として婦女子にとって安全な地区とは言いがたい
    ●しかし「犯罪者の巣窟」とか「犯罪多発地帯」というわけではない
といったところであろうか。

最後に舟岡山公園を管轄する「西陣警察署」に話を聞いた。

「強姦事件に関しては、届け出や通報がないことが多いのですが、それにしても“船岡山公園”でそういった事件が多いという噂も聞いたことがありません。他の事件や通報に関しても、あの公園がとりわけ多いということもありません。ですから、とりわけ“危険な犯罪多発地域”というわけではありません。ただ、確かに、あの辺りは暗い道が多く、女性にとっては不安な地域ということになるでしょうから“そういった場所を敢えて通るのはよしなさいよ”といったところですね。我々としては、女性の方は少々遠回りになっても、明るい道を通るようにお勧めしたいところです」

舟岡山公園に関しては、格別の“犯罪地域”“強姦魔の巣窟”というわけでもないようである。
しかし、実際に昔警官が殺害された事件が起こっているし、毎年のように自殺者がでており、また強姦(未遂?)事件が実際に発生しているので全くの平穏無事な場所というわけでもないようだ。

いずれにせよ、女性の一人歩きをお薦めできるような場所でもない。
日々の安全は心掛けからであり、犯罪多発地帯であろうと、なかろうと“怖いな”“不安だな”と感じるような場所は極力さけるようにすべきであろう。


投稿
探偵タイムス



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