シリーズ『離婚』最終回

〜 最終手段、裁判離婚 〜





離婚とは。シリーズ最終回の今日は、離婚をする際の最終手段である離婚訴訟についての流れをお届けしたいと思います。

調停や審判が不成立で、どうしても離婚をしたい場合は、訴訟により離婚を求めるしかありません。
本シリーズ第1弾で、離婚を一方的に求められる「離婚原因」を5つ紹介しました。
覚えていますか?覚えていない方は第1回を見直してみてください。。。大丈夫ですか?
離婚は地方裁判所に申し立てますが、手続きの主な流れは以下のとおりです。
    (1)地裁に訴状の提出(2通作成、添付書類として調停不成立証明書、戸籍謄本を添付)
    (2)口頭弁論
    (3)証拠調べ(書証、証人出廷など)
    (4)口頭弁論終結
    (5)判決
    (6)判決から2週間後、判決の確定
    (7)離婚、差し押さえなど
ただし、(1)の訴状を提出する裁判所ですが、必ずしも現住所の管轄の地方裁判所とは限りません。
おおまかな基準は以下のとおりです。
    (1)裁判提起の時点で夫婦が同居していれば、その住所の地方裁判所
    (2)裁判提起の時点で別居中の場合は、最後に同居していた住所に夫婦の片一方が住んでいる
       場合、その住所の地方裁判所
    (3)二人とも以前の住所に住んでいないときはそのどちらかの現住所を管轄する地方裁判所
ただし、裁判所の判断で裁判所を変更する場合もあります。
双方の合意があっても管轄裁判所以外での訴訟の提起はできません。

訴訟になると、内容の複雑さと専門的知識が要求されるため、ほとんどの方が弁護士の手を借ります。
訴訟というのは、訴えを起こした側が、相手に離婚原因があることを立証しなければなりません。
それには、婚姻してからの生活の様子から、相手に浮気などの不貞行為があれば、その証拠書類(探偵による現場の写真や報告なども含む)も作成して提出することも含まれます。

とはいえ、これは弁護士だけでは作ることができないため、大体は弁護士と依頼者が打ち合わせの上作成していきます。 時間がかかりますが、これが裁判官の心証に影響を与えますので、綿密に打ち合わせをしましょう。 また、証拠提出と共に、証人に出廷をしてもらったりする場合(自分自身やお互いの両親、夫婦についてよく知る人など)などがあります。

審理にかかる時間ですが、書証提出だけの審理の回(弁護士だけが法廷に出向く場合が多い)は受け渡しだけ(「陳述します」と言って書類を提出するのみ)ですので5分程度で終了します。 その他の場合は一般的に30分から1時間半ぐらいかかることが多いようです。 審理は月に1回程度行われ、一般的には一審(地方裁判所)で半年ー1年程度はかかると考えておく必要があります。

いずれにしろ、裁判は時間と費用がかかるものですので、あくまでも裁判は最終手段と考え、調停時にいかにうまくまとめていくかが離婚をスムーズに進めるための良策といえます。

−裁判豆知識−
・裁判は、傍聴自由の公開の場で行われるため、証人出廷時にはその内容を
 他人に聞かれる可能性がありますが、やむを得ません。
・訴訟費用自体は十数万ですむ場合もありますが、実際には弁護士料などが
 かかるため、経済的な負担を覚悟する必要があります。
・裁判中に和解が勧告され、双方が応じると「和解調書」というものが作成
 されますが、裁判所から交付された判決書謄本と判決確定証明書を添えて
 10日以内に市区町村役場に離婚届を提出しなければなりません。



〜おまけ・母子家庭へのさまざまな援助〜

1.児童扶養手当
離婚後、母子家庭になり、一人で子供を育てている母親に主に支給されるもので、別居中で夫から生活費をもらってない人でも支給される場合があります。 支給対象は、0歳から子供が18歳に達する日以後の最初の3月31日までとなっています。 手当額は前年度の所得に応じて2段階に分かれ、また、子供の数に応じて支給額は変わります。 ただ、国会で児童扶養手当は削減されるような動きがありますので、金額は各市町村役場の担当課にお尋ねください。

2.母子生活支援施設、福祉事務所
入寮資格は20歳未満の子供がいて、生活上の事情からひとりで子供を育てるのが困難であることなどです。 収入制限はありませんが、収入に応じて入居費用を負担します。 詳しくは、最寄の福祉事務所へお尋ねください。

3.母子福祉資金
各自治体で、母子家庭の生活の安定などのため、無利子や低金利にて各種貸付を行っています。 融資対象者は、現在住んでいる都道府県に6ヶ月以上住んでおり、20歳未満の子供を育てている母子家庭の母です。 収入制限はありませんが、連帯保証人を一人求められます。

4.生活保護
病気や失業、突然の離婚で収入が少ない、またはないなどの理由で人として最低限の生活ができないと認められる場合、生活保護を受給することができます。 生活保護には生活扶助を初めとして7つの扶助があります。 そのうち、医療扶助は保険料、医療費の免除という形で扶助されますが、その他の扶助にかかわる支給金額は、厚生労働大臣が定める保護基準で算定されたもので、世帯人数や住んでいる地域により変わります。 ただし、生活保護を受けている場合は車などのぜいたく品の購入などが禁じられます。

その他
ひとり親家庭の医療助成・・18歳未満の母子または父子家庭の医療費が無料に。
JR通勤定期割引・・・・・・証明書の提出で3割引に。
税の軽減・・・・・・・・・各市町村役場、税務署などで相談を。
利子非課税制度・・・・・・銀行預貯金、公債などの預け入れ、購入時に非課税となる「新マル優制度」
             があり、申請することにより適用されます。



以上で本シリーズは終了となりますが、今の生活に迷っている方も、すでに法廷で争っている方も、本シリーズが何かのお役にたてれば幸いです。


※ 離婚紛争の際は、弁護士に依頼することをお勧めします。
  探偵ファイルではご相談に応じることは一切できません。
  文中に出てくる人名、地名はフィクションです。



( 探偵ファイル・二階堂)



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