●更新日 11/11●

BOSS 四ヶ月ぶりに復活!!  〜謎の中国人の女


 まだこの日記を書いているのが私ではないと疑っている貴兄へ捧ぐ


身に覚えの無い不幸が自分に降りかかった時、あなたはいったいどうやって対処しますか?

ある日のこと。彼女と渋谷でデートの真っ最中だった。二人はロフトでサングラスを物色していた。そこへ、まったく見覚えの無い中国人(若い女)が現れ、私に向かって「我無為楊情○×∞!!(あと全部漢字)」と叫び、私の胸に手套突き。何やらひどく怒っている。繰り返し言っておくが、本当にまったく知らない女だ。昔書いた中国エステの女でもない。

そして、私に紙袋を突きつけた。私はあっけに取られ、思わずその紙袋を受け取ってしまった。すると、その女は中国語でわめきながら彼女を一瞥して去っていった。まるで走馬灯のように。私はおそるおそるその紙袋を開けた。銀色に光るケースにビニールのフタ・・・。パカッと開けてみたら強烈な臭いがあたり一面に立ちこめた。

それは何と

 

青梗菜(ちんげんさい)の具入りスープだった。

 

大多数の日本人が受け付けない、アノ臭いだ。私は急いでフタを閉め、鼻をつまんでいる店員や客にわびて足早にロフトを出た。しまった!あまりに唐突な出来事に我を忘れ、彼女を店に置き去りにしてきた。案の定、彼女は烈火のごとく怒っている。私がいくら無実を訴えても、聞く耳を持ってくれない。彼女は無言のままタクシーに乗り、去っていった。
私は青梗菜のスープの入った紙袋を東急文化会館のロッカーに入れた。持って帰るのも何やら違う気がするし、捨ててしまおうかとも思ったが、事件がよからぬ方向に発展した時、有力な物的証拠になるような気もした。

翌日、園田に、その紙袋を取ってこさせた。そして、「そのスープ、彼女が作ってくれたんだけど、おれは腹がいっぱいだから、おまえ、食べろ」と言って食べさせた。園田はものすごく嫌な顔をしながら食べた。そして私にこう質問した。「BOSS,いつから彼女が中国人になったんですか?」私は、「バカヤロウ、彼女が料理教室で作ったんだ」と答えた。園田の脳裏に、『どうしてコインロッカーに彼女が料理教室で作った青梗菜のスープが入っていたのか』という疑問だけが残った。


    写真1
       園田の食後

ふと紙袋を見ると、渋谷○楽園と書いている。何の店だろう、と思い、記されている住所に向かった。そこは、小綺麗な焼肉屋だった。私は、小腹が空いていたことも手伝ってテーブルに座った。すると、あの女がチャイナ服を着て働いているではないか。女は私を目ざとく見つけると、ダッシュで近寄ってきた。私はすかさず

 

今から彼女のところへ一緒に来て謝ってくれ

 

と頼んだ。頼むべき筋ではなかったが。しかし、女は日本語がどうやら分からないらしい。私をまだ自分の知人?だと思い込んでいる風だ。私は自分の名刺を差し出して、自分の顔と名刺を交互に指差した。そして、やっと誤解が解けた。店の奥から中年の女性が出てきたので、通訳を頼んで事情を聞いたところ、どうやらこの女は私とそっくりな男にたぶらかされたらしい。すわ、この日記の初期に出てきた、私とウリふたつの男

 

 

 

新橋のうどん屋の店員

 

違いない。

 

 

ー つづく ー