●更新日 7/12−2●

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池袋殴殺事件 ユーザー情報と刑事さんの苦闘 (1)

 

平成8年4月11日の夜23:30分頃、立教大生の4年の小林悟さん(21)が池袋駅のホームで男性にからまれ、口論の末に突き倒され、頭を強く打って死亡した。
我々は、当サイトに懸賞金を設定して、広く情報を求めた。その中に、一通の有力な情報があった。色めき立った調査部は対象の尾行を開始し、勤め先を特定した。持ち帰った対象者の画像を犯人の似顔絵と照合すると、驚くほど似ていた。

この画像を持って捜査本部のある池袋警察署へ出向いた。

(――は八坪探偵「   」は担当刑事さん)

――犯人の特徴である“右目上の傷”について、情報提供のあった人物に、かなりの近づいて確認したんですが、傷は無いようでした。

「そうですか……警察のほうでも、その傷が無いと、ある程度、落としてるんですよ。身長、顔形を見て……やはり、最後に特徴として捉えるのは、あの傷なんです。」

――穴状の傷ですよね?

「そう、注射の跡のような傷というか、へこみですね。これは、何人かの目視者の証言が一致しており、間違いありません。目視者が特徴としてあげているくらいだから、目立つものですよ。しかし、無論「傷」に関しては整形手術をする可能性もありますから、その可能性も考慮して捜査を進めています。」

――今までに、どのくらいの量の情報提供がありました?

「総計で2000件くらいの提供情報がありました。現在では、そのうち1200件くらいの確認を終わりましたので、あと800件の情報を確認中です。捜査方法としては、身長、体型、人相、それから、傷などの特徴が合致し、有力情報となった時点で、目視者と会わせるという方法をとっています。調書をとった目視者は何人か確保しておりますので。情報に基き、その人物に会いに行き「その日何をしていたか」などの質問をして、身体的特徴を確認する、という方法を取っています。」

――他の捜査方法はありますか?

「無いでしょうね。聞込みなどの情報収集は、初期に終わらせてしまっているので、今はそういう絞り方はやっておりません。今となっては、皆さんから集まってくる情報だけが頼りです。それがないと我々も動けない。だから、こないだもテレビに出ましたしね。」

――あと800人ですか

「そう、そして、時効が来年の4月だから、もう、必死ですね。毎日やってますよ。今日も、先刻、帰ってきたところでしてね。」

――どんな感じの捜査をなさってるんですか?

「情報のあった人物に実際に会って話を聞けば、犯人か犯人でないか、大体分かるんです。それから、写真を撮らせてもらっています。携帯電話のカメラで。だから、私の携帯電話(シャメール)には、いつでも、捜査した人の顔写真がぎっしりですよ。(笑)体制としては捜査は、現在、6人の体制で当たっています。ほとんど、毎日ですね。実は、傷害致死事件で、捜査本部を設けて、これだけ長いことやる、というのも珍しいんです。しかし、もうすぐ時効だし、被害者のお父さんも、個人で一生懸命やってらっしゃるというので、警察としても、そういった期待や気持ちに応えたいんです。ですから、懸命にやってます。もちろん「情にほだされたから」というわけではないですけれどね。我々は、それを解決しなきゃならないですからね。

――時効が近づいてきたわけですが、解決できそうですか?

「うーん……。苦戦中です。とにかく、片っ端からという感じですからね。 残りの800人の中に犯人がいれば解決できるんでしょうが……あなた方(探偵ファイル)から頂いたような、確実な情報であれば有難いのですが、このように、写真があり、住所があり、名前がある、といった情報ばかりで無く、不確実な情報も多いんです。 大体、情報の出所の確認や、その当人を探し出すところから始めないといけないんです。 例えば「10年前退職したにうちの会社の社員に似ている」という情報だったとしたら、住所を転々としているとか、勤めていた会社が潰れているとか、いろいろあるわけですよ。
他にも、いろんな情報が届きます。“ちょっと似てる”から始まって、“前にいた会社の人に似ている”とか。その他「道で歩いていたら、見かけたとか」「テレビを見ていたら通行人で映ってた」という雲をつかむような情報もあります。また、写真1枚を送ってきて「こいつを調べてくれ」みたいな情報もあるんです。そうすると、その写真がどこで撮られたか、それが誰なのかを聞いてこないといけない。
たとえば、昨日行ってきた人なんかは、病院に入院中の患者さんでしてね。警察といえども、勝手に会いに行って、話しをして、写真を撮って、というわけにはいかない。
整形している可能性があるにしたって、カルテなんて簡単に見せてはくれません。
情報の提供者に話をし、病院に話しをし、いろいろと手続きを踏まないといけない。場合によっては、役所で照会文書を作って行かないといけないんです。
で、実際に会いにいけば、「なんで、オレが犯人なんだ!」というように、怒り出す人も当然いるし、その人をなだめながら話をしなくてはならない。地域にしても、近い所だと助かるんですけれどね、遠くなると、名古屋だとか、大阪だとかもあります。そうして、情報の人物を探し出して、会って話しを聞いて、写真を撮って……とやってると、一日では終わらず、1人確認するのに、2〜3日かかることもあるんですよ。長期間に亙る、大変な作業です。これをあと800人ですからね。確かに苦しいところです。
もちろん、100人目で犯人が出てくれば、あとの700はいらないわけですけれどね。

――情報の提供者への対応はどのようになさってます?

「情報が寄せられれば、とにかく、当たっていきます。情報を頂いた人の返答については、その情報が犯人逮捕につながった場合のみ、連絡しています。その情報が、「はずれ」だった場合は、申し訳ないですが連絡しておりません。それをやり始めると、大変な作業になりますから。但し、それが犯人逮捕につながった場合は「必ず」連絡しています。賞金もかけていますからね。」

――この事件のような、理不尽な暴力に対抗できるのは、警察しかいないわけですから、苦戦でもがんばってほしいと思います。

「ええ、そうですね、本当に。がんばりますよ」




事件の詳細と似顔絵

池袋殴打殺人事件・家族の涙




次回はユーザー情報による調査内容と犯人のプロファイルをお送りします。

 

 


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