●更新日 4/13●


人生で一番不幸な日


 

それは朝一番から始まった。
ピンポーン、ピンポーン・・・・
ん?・・・えーと、朝9時。まだ寝て2時間じゃないか。うるさいなぁ、いったい誰だよ。
ガチャッ え?知らないおばさん。
すいません、幸せについて一緒に考えませんかetc
寝ぼけていたので、幸せについてのお話を約5分間聞いてしまった。
食い下がるおばさんを振り切ってドアを閉めたら、足の
小指を思いっきり下駄箱の角にぶつけた。

いてーーっ!!

どうされましたー!? 大丈夫ですかー!?
つつつ・・ババァ、ドアの向こうにまだいるよ・・・早く帰れよ・・・

うわっ

ババァが倒れた俺の背中をさすっている。
びっくりして振り向いたら、ババァのほっぺたにキスしそうになった。
「すいません、すいませんが鍵を閉めますので・・・・」
必死に痛みをこらえ、ババァを押し出して鍵をかけた。
ここまではよくある話だ。でも、ここから未体験ゾーンだ。

爪を見たら、半分取れていた。
血が勢いよく出ているので、近くにある紙を取ろうとした。
ん? なんかいやな感触・・・。
大吉(愛犬)の
うんこをわしづかみしてしまった。
そう、何を隠そう、私の裸眼は0.03なのだ。
コンタクトをしていないと、とんでもない目にあいやすいが、今日は松(特上)だ。

手はうんこ、足は血だらけ。バスルームに行くっきゃないガツン
鈍い音だった。
それは、ロフトの階段と足の指の美しきハーモニー。(さっきと逆の足)
まるで、香港映画のチェーン・アクションのように、時はゆっくり流れる。
もうすぐ痛みの波が来る。あーっ来る・・・

きたーっ

廊下にもんどりうって倒れる。
片方の足の小指をぶつけることはたまにあるが、両方いっぺんは生まれて初めてだ。
痛みって、相殺するんじゃなくて、二乗するし。


記念すべき不幸な日だった。

 



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