山木の心霊事件簿
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◆嘆きの大橋 |
「なんか、『あぶない探偵』が終わったらしい。」 「山木はクビになったらしい。」 「斬鉄剣で斬られて死んだらしい。」 などといろいろな噂を聞くにつけ、つくづく山木と縁を切っておいてよかったと思っていた私こと探偵K。 しかし先日、クビになって斬死したはずの山木がやってきた。 山木「Kさん、これから飲みにいきませんか?」 「あぶない探偵は終わった」ということだったので、ついOKしてしまったのが失敗だった。
いきなり山木と東京から数時間のドライブ。 K 「で、なんで飲みにくるのにこんなとこまでこないといけないんだゴルア。」 山木「終わったら帰って飲みますってば。せっかくあぶない探偵が復活したんだから、 やっぱり探偵Kも復活して欲しいと読者も思ってるはずです!」 うう、読者の名前を出されると...人気者はつらい。 『帰ってきたあぶない探偵』って...。帰ってこなくてもよかったのに。 場所はK県にある大橋で、正式名称は○○橋。 この近辺に住んでいる人は、心霊スポットということで肝試しに来る人を本当に迷惑がっているらしい。 毎年のように出る自殺者にも、かなりナーバスになっているということだ。 今回は場所と名前は完全に伏せさせて頂きます、ご了承ください。 ![]() 嘆きの大橋(ナイトショットで撮影しています) なぜ、この橋が『嘆きの大橋』と言われ女性の霊が棲みついたと言われるのか? それには、一つの伝説があった。 その伝説とやらを、概略すると...
山木「悲しい恋の話ですねぇ。だけど、橋から村までの出入り口は一つしかないし、町 までの道は一本道なのに、何で二人はすれ違ってしまったんですかね?あと、 青年は何で戻らなかったのかな。」 まあ、男が金もって街にいって女のことを忘れたか、街でひたすら探したけど死ぬまでみつからなかったとかいろいろ予想はあるだろうけど・・・街で知り合った女と暮らしましたってのが、当たらからずとも遠からずと言う所ではないだろうか。 山木「現実的ですね。まぁ、僕達の仕事には干からびた現実しか有りませんけど。」 そういうモンだ。人の気持ちなんて変わるものだし。 しかし、当時の朽ちた橋でも残っているならともかく、近年に改築されたという今の橋では悲恋伝説の面影なんて、微塵も感じられない。 とか思っていると...
山木「うわ!出た!!」 ん?どうした!何、そんなに引きつった表情して。 山木「あれ!あそこに、白い服着た女が!」 ![]() 幽霊・・・か? 何っ?見ると、確かに年が15〜16ぐらいの娘が橋の先に立っている。 ちなみに、今は深夜1時半。 車の行き来も殆どなく、歩行者なんて通るはずもない時間帯である。 女の子が、一人で橋にいるなんて、あまりにも不自然過ぎる。 ついに霊と遭遇してしまったか!? と思ったのだが、髪が金髪だった。 たぶん幽霊は家で髪の脱色したり頭に剥離剤かけたりはしないだろう。 それとも、今の時代は幽霊ですら、髪の色に気を使うというのか? とりあえず山木が近づいていった。 ![]() 山木「あの、何してんですか?」 少女「別に。」 山木「誰か待ってるの?」 少女「うるさいなぁ、あっち行ってよ。」 山木「こんな夜遅く、一人でいるのは危ないよ。」 少女「あんたみたいに、声掛けてくる男がいるしね。」 流石にこんな時間に出歩くだけあって口ぶりがヤンキーぽい。 ひたすら罵倒されながらも話を聞き出したたところ... 少女の霊ではなく、ただのプチ家出少女のようだ。 親と喧嘩して出てきたものの、やることもないから橋でボーっとしてたらしい。 ここの、心霊話を知ってるか聞いたところ... 少女「知ってるよ。男信じて、死んでった女の話でしょ。馬鹿だよねぇ。さっさと探し に行きゃ良かったのに。」 うーん、伝説では売られていった少女は、確かこの娘と同じくらいだったように思うが。 まぁ、今の世の中に「帰らない人を待つ」なんてないかもなあ。 電話もあるし、メールもあるし、交通も発達しているし。 北海道〜沖縄まで3時間で行ける御時世に、待っているだけの恋なんて無いのかも? 山木「現代に生まれ変われてれば、いいですね。」 少女の霊に手を合わせて、その場を後にした。 まあ、もしアナタの周りで、帰らずに探して欲しい人がいるなら、捜索はこの探偵Kにお任せください。(さりげなく宣伝) ( 探偵ファイル・山木&あくまで今回限りを主張する探偵K )
![]() おまけ 橋の先で、我々をじっと見つめていた猫(コワイ) |
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