「上手に原発の利用を」女子高生の投書にクレームが続出
3月の大震災での原発事故以来、エネルギー政策に関する世論にも様々な変化が生じた。その影響は、新聞への投書からも読み取ることができる。
発端は、2011年12月14日の東京新聞に「上手に原発の利用を」という投書が掲載されたことだ。投稿者は、東京都に在住の高校生。「私は原発を造ることに、どちらかといえば賛成だ。なぜなら、今まで原発を利用していたのに、いきなりなくなっては、不便になるし、これまで利用してきたのに、事故で原発の恐ろしさを知った途端に、原発はいらないと運動をしている人を見て、それはどうなんだろうと思う」。
消費電力の多くを原発に依存してきたのだから、それをなくせば従来の生活はできなくなるだろうという。その分の発電量をどう補うか、補いきれるのかと、女子高生は疑問を投げかけた。原発を増やすには十分な対策が必要であり、「もっともっと、原発のことを知って、上手に原発を利用していけばいいと思う」と結論している。
22日の記事によると、この投書には様々な反響があったという。「こんな発言を載せるとはどういうことか。十八歳に自分の発言の責任が取れるのか」、「原発は『コストが一番かからないという』とあるが正しいのか、投稿を採用すべきではない」といった、抗議のような電話も数件あったそうだ。
当該の投書への異論や、正反対の意見を紹介することの意義を評価する投稿も掲載されている。その一つには、冒頭に次のように書かれている。「3・11以後の報道は本当に一律で怖かった。まるで戦時中のようだという年配者もいた。一つのスローガンが掲げられると、皆が異口同音に唱え行動していく」。別の投書では、原発反対運動の当事者が、不便な生活を我慢してでも原発を止める意義を述べている。
日本のエネルギー問題は、これからが正念場であり、徹底した議論の継続が必要だ。
高橋
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