●更新日 08/29●


超美人妻の裏の顔(3)


ターゲットの美人妻は夫に内緒で風俗店に勤めていた。夫の受ける衝撃はいかばかりであろう。
(いったい、なんといって報告すればよいのか……)
とはいうものの、報告しないわけにもいかない。

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「そうですか……引き続きお願いします」

電話での中間報告を聞いたクライアントは、しばしの絶句の後、力なくそう答えた。
そして夕方。
今回の調査のもうひとつの目的「妻の浮気調査」に取りかかった。

勤務先である「ファッションヘルス○○」を出たターゲットは、出勤の時の道順を戻り始めた。
来るときに降りたT駅へ向かい、電車に乗り、ターミナル駅で電車を乗り換え……なかった。

自宅の最寄り駅とはほど遠いH駅で降りたターゲットは、駅ビルでウィンドウショッピングを始めたのだ。
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(くっ……)
(これは厳しい!)


女性のウィンドウショッピングは男性探偵にとって鬼門だ。
女性用品売り場では男性など目立って仕方ない。洋服店をウロウロされるだけでもやりにくいのに、下着売り場などに入られたら、男性探偵には為すすべも無くなってしまう。

しかし、どうにか見失うことなく尾行を続行。さらに、いくつかデパートを出入りしたターゲットはH駅に戻ってきた、
そして改札前で立ち止まると人待ち顔で改札を見つめはじめる。

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駅の改札から出てくる人物を待っているのだ。すなわち、浮気相手との接触の前兆。
探偵たちは緊張しながらターゲットを見張り続けた。

やがて、一人の男性を目にとめたターゲットは、手を振りながらその男性に近づいた。男性も笑顔でそれに応えている。

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二人は微笑み合いながら近づき、腕を絡めて歩き出した。
まちがいない。この男性がターゲットの浮気相手だ。しかし。
相手男性を見た探偵たちは、胸のうちで、全く同じセリフを一斉に呟いた。


(ブッ……)




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(ブサイクっ!!)

中年で、背の低い、頭の禿げた、太った、歯並びの悪い、品の悪そうな……
とにかく、これを二枚目とかイケメンとかいう女性は、まちがってもいないだろう。
一点の非の打ち所も無い完璧なブサイクだ。

クライアントの夫は文句なしのイケメンだし、ターゲットの妻は超美人だ。
なのに、なんでその浮気相手がこれほどの、これほどの……

(世の中はなんと理不尽にできているのであろうか!!)

探偵たちの感慨をよそに、仲睦まじげに歩く二人は一緒に食事をし、やがて、ラブホテルへ入っていったのだった。

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ありのままを報告しないわけにはいかない。
思ったとおり、クライアントは衝撃を受けていた。
あのブサイクな男の何が美人妻の心を捕らえたのかはわからない。だが、外見に惹かれたわけでは絶対にないであろう。
クライアントのイケメン夫は、上辺だけのコミュニケーションでかえって夫婦間の距離を遠くしてしまったのかもしれない。そうしてできた心の隙間を埋めてくれたのがあの男だったのだろうか?

そう考えるとなにやら虚しさを覚えてしまう調査だった。



ガルエージェンシー立川



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