●更新日 03/31●


小5の出産〜映画化に異議


「コドモのコドモ」という漫画をご存知だろうか?
(著者:さそうあきら 出版:双葉社)

ストーリーを簡単に説明すると『小学5年生の男子と女子が「くっつけっこ」と呼んで、それと知らないまま性交渉。女の子は妊娠してしまう。しかし、周囲の大人たちはそれを信じようとせず、自分達の都合に汲々とするばかり。そこでクラスの子供たちは力を合わせ自分達だけで出産に臨むのだが……』という物語。

これを原作として同名の実写映画が制作されている。


昨年8月に始まった撮影も、今年の1月に終了。
秋の公開に向けて準備が進行中だ。

撮影に際しては撮影ロケ地である秋田県能代市も協力しており、既に廃校になった校舎が提供されたり、地元市民がエキストラとして参加したりしていたのだが、撮影中だった昨年12月、市議会にて議員が、
「原作を読んだ限り、命の尊厳について(描かれているとは)感じない。」
「ロケの受け入れをすべきではなかった。」

と異議をとなえ、物議をかもすことになった。

ロケ地として提供された旧「渟城第二小学校」

エキストラ募集要項

平成18年、中学生の出産を描いた「14歳の母」というドラマが放映されて話題になったが、
今度は小学5年生の出産。
確かに題材としてインパクトが強すぎる。
議員の発言は「過激で、教育上疑問を感じる」という市民の声を受けてのものだったわけだが、能代市長は「ショッキングなアプローチであるが、作品の中で子供たちが成長していく過程が教育を考える機会になればと考え、撮影を支援していくことにした」と答弁している。

ネット上でもこの映画については賛否両論あり、それぞれの意見をまとめてみると、
【賛成派】
・そもそもこれは「漫画」「映画」でありフィクションである。
・「命や家族や友達の大切さ」が描かれている。
・フリーセックスの奨励などではない。

【反対派】
・小学5年生同士で妊娠など不可能。フィクションにしても嘘すぎる。
・このような題材をメディアで扱うことは、低年齢のフリーセックスを奨励することになる。

ということらしい。

漫画原作の担当者に話を聞くと『原作の終わり方について「打ち切られたのでは?」という憶測があるようですが、これは誤解で、当初から予定通りの終わり方です。映画はラッシュ(完成前のフィルム)を見ましたが、ほぼ原作通りです。映画ならではのアレンジもありますが満足しています。』とのコメント。
また、反対派が主張する「小学5年生の男女に妊娠は不可能」との意見について、思春期の子供の身体や妊娠の研究に携わっている「HIS研究会事務局」に聞いてみたところ「小学生同士の妊娠の例は聞いた事がありません。」とのことだった。
そして、能代市教育委員会は「ノーコメント」。東京都教育委員会は「性教育は大変デリケートな問題。上司に相談しないと答えられない。」と、回答なし。

原作漫画のキャッチコピー

実際に原作を読んでみたところ、ストーリーの主題は「セックス」ではなく「出産」
その他、「ジェンダーフリー」「学級崩壊」といったキーワードも盛り込まれているようだ。
描かれる「小学生だけの出産」を現実にマネすると危険極まりないので、学校の教材としては適さないかもしれないが「漫画」や「映画」の題材としては興味深く“敢えて反対するほどの問題はないんじゃない?”という感想をもつのだが……皆さんはどうお感じになるだろうか?


映画「コドモのコドモ」
監督:萩生田宏治 脚本:宮下雅子 主演:甘利はるな
2008年秋公開予定




特捜班+九坪



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