●更新日 03/29●
アパートで一人暮らしをしている人に、 彼女は、自他共に認める「キッチリした性格」だった。 何事もキッチリしていなくては気がすまず、その生活振りもとことんキッチリしていた。 キッチリ、決まった時間に目を覚まし、 キッチリ、決まった時間に仕事に出かけ、 キッチリ、決まった時間に帰宅する。 当然、脱いだスリッパもキッチリ揃える。 しかしある日、帰宅するとキッチリ揃えたはずのスリッパがズレていたという。 なんと、7mmも! 彼女は確信した。 「私の部屋に、不法侵入した者がいるに違いない!」 言っておくが、泥棒に入られた形跡はない。 お金を含め、アパート室内からなくなっているものもない。 おかしいのは「スリッパの位置」だけ。(それもたった7mm。) 大家に相談すると「気のせいでしょう?」と言われた。 友人に相談すると「またまた〜。気にしすぎでしょう?」と言われた。 警察に相談すると相手にされなかった。 そうして最後にやってきたのが「探偵」というわけである。 依頼を受けた探偵は全力で調査しなければならない。たとえ内心、 「気にしすぎじゃないのかな〜」「神経質な人だな〜」 などと思っていたとしても、である。 そんなわけで、部屋の中に隠しカメラを仕掛け、彼女の外出中、スリッパと室内の様子を監視することになった。 詳しくはこちら 翌日。回収したビデオを確認。 そこに映っていたものは……
・朝。彼女が慎重にスリッパを揃えた後、玄関から出かけて行く。
・昼。部屋の中に大家が入ってくる。 ・大家はスリッパを履いて部屋にあがり込み、ソファに座ってテレビを見る。 ・30分後、大家はテレビを消し、ソファを元通りに整える。 ・慎重にスリッパを揃えて、玄関から出て行く。 彼女の「不法侵入者がいる」という確信は間違っていなかったのだ。 後日、警察に逮捕された大家は、 「昼間に見たい番組があり、いつもはビデオで録画していたのだが、ある日、ビデオの録画予約を忘れてしまった。 つい出来心で彼女の部屋でテレビを見たのだが、それがバレることなくうまくいったので何度も繰り返し、いつしか昼になると彼女の部屋でテレビを見ることが習慣になってしまった。」 と、供述したという。 たった7mm。 普通なら「気のせい」と一蹴されてしまうズレだっただろう。 しかし、彼女の「キッチリした性格」はそれを見逃さず、見事 、大家の不正を暴いたのであった。 ところで、この話には後日談がある。 一度、そうした不法侵入を経験してしまった彼女は、その後、自分で監視カメラを購入。 室内を24時間監視し、仕事を終えて帰宅した後、それを確認しなければ気がすまなくなってしまったのだそうだ。 さぞかし、気の休まらないことだろう。 この彼女の「キッチリした性格」。 災いしているのか、幸いしているのか、はたしてどちらであろうか? 静岡の探偵 |
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