●更新日 03/21●


THE詐欺〜その手口〜


今回はある詐欺事件のケースをご紹介しよう。

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「騙された!」という一本の相談電話。
詳しい話を聞くと、大体こういうことだ。
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ある日、中古自動車販売業を営む友人に泣きつかれる。

「会社が危ない。このままでは倒産してしまう。車を買ってくれ。」
「買えないよ。そんなお金はない。」
「じゃあ、“買う振り”だけでいい。ローンの用紙を書いてくれるだけでいい。」
「それじゃ、俺がお金を払わなきゃならなくなるじゃないか?」
「金は俺が払う! 大丈夫。月々のローンくらいなら払える。
 とにかく、今、車が売れないとどうしようもないのだ。頼む!」


あまりに泣きつくものだから、金は友人が払うという約束で、ローン用紙を書いてやった。

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ところが、その友人が夜逃げ!

うろたえた相談者は探偵に電話をした、というわけ。
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ここで問題なのは、実は「相談者は被害者ではない。」という点 。
実質的な被害者はローン会社である。

相談者は「友人に騙されてローン契約をさせられた。」と主張するが、そんな理屈は通らない。
ローン会社にしてみれば、この相談者は、
「友人とグルになってニセ契約をした共犯者。」
にほかならないのだ。

相談者としてはは、友人を探して約束通り金を払わせたい。
ローン会社からの請求は当然無視するつもりだ。
「そんなローンなんて認めませんよ! 約束を破ったのは友人でしょう?」
「車さえ納車されないんだから、どうしようもないじゃないですか?」

なんてことを言っている。

しかし、契約を受けたローン会社の身にもなってみれば、約束をしたのに金を払わないのは、この相談者なのだ。
そうなれば、ローン会社はどうするか?

顧問弁護士に相談。
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警察に詐欺の被害届けを提出。
  ↓
相談者、指名手配!

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そして、さらにやっかいなことに、この場合、相談者は警察に届け出ることもできないのだ。
なぜなら……
仮に友人が警察に捕まったとしよう。
少しでも罪を軽くしたい友人は、警察にありのままを自供するだろう。つまり、
「ローン会社から金を騙し取るため、友人に協力してもらいました。」と。

どっちにしても相談者は「詐欺の共犯者」だ。
友人ともども逮捕。ローン会社への借金は残ったまま

ともあれこの場合、諦めてローンを認め、夜逃げした友人を見つけないと始まらない。
ローン会社が被害届けを出してしまったら、あるいは、友人が警察に捕まってしまったら、
それでアウト。バッドエンド確定。
相談者は警察に逮捕され、金は戻らない。

おそらく、この友人はそこまで読んでいたのだろう。
詐欺の共犯者は警察にはいけないのだから。

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友人だろうが身内だろうが、うかうかと名義を貸してはいけないということだ。
人の情けが身を滅ぼす。恩は仇で返される。
世知辛いが、これもご時世か。



静岡の探偵



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