●更新日 03/08●

トレーディング・カードゲーム制作者の憂鬱


様々な業界で働く人がいます。ですが、その業界に身を置く人にしか解らない裏話も沢山あります。 興味があっても、「実情はどうなんだろう?」という不安を持つ方々の 質問にお応えするこのシリーズ。 今回は、一大ブームが起こった『トレーディング・カードゲーム』の 元制作者の方にインタビューしてきました!



――制作の仕事内容は?

新しく発売する追加ブースター(拡張パック)の 効果・能力・コスト・使用制限などを決めていきます。

1つの拡張パックで、新規に作るカードは平均180枚ぐらい。 コレクションカードと違い、ゲームとしての目的がありますので 全体のゲームバランスを崩さないよう、 今まで発売した全てのカードと混ぜてデバック(テストプレイ)を 何度も繰り返します。


――1番苦労する点は?

発売したカード全てを覚えていることですね。 例えば、発売後に追加修正されたカードや、2刷、3刷で修正したものも 刷順で覚えていなければ、大会などでの不正・禁止事項の判定に関わりますから。

1000枚以上覚えてましたが、辞めた後も忘れられないのが一番ツライところでしょうか。


――制作の裏話を教えて頂けますか?

1人あたり平均3〜4箱(10枚パック×15袋)買わせるように、 当たりカードで●●が貰えるとか、応募券20枚1口で○○が何人に当たるキャンペーンなど企画しますが、これらは営業からの提案で会社決定します。

しかし、それに対してのユーザーからのクレームが、大会やサポートを通じて現場の制作者に来るのが困ります。まあ、そんなことを言ってくるのは俗に言う『大きいお友達』なんですけどね。制作担当は2人なので、プレゼントの抽選から発送に至るまで全部やってました。


写真

――そのキャンペーンの当たりって、どのくらいの比率で入っているの?

基本的に初回出荷分にしか入れていませんが、平均50箱に1つぐらいですかね。

某社なんかはもっとひどいですよ。最初に当たり数を決めてしまいますから、例えば当たりを150枚として初回出荷が1万箱だとすると、箱買いでも約66.7%、1袋づつバラで買うと0.1%…極悪ですねぇw


――この仕事をやってみたいと思っている人にアドバイスを

基本的に1つの制作が2〜3ヶ月、それに合わせてのガイドブック、バインダーやデッキケースなどの関連グッズも同時進行なので、かなりキツいです。

発売後の土日は販売促進を兼ねたイベントや大会の運営・審査員などで休みが ほとんど無いので、頭と体の肉体労働と思ったほうがいいですね。

また、クレーム対応やサポート業務がとにかく大変。 ボランティア精神も持ち合わせていないと、とてもやっていけません。




如何でしたでしょうか?

趣味の世界というのは、ユーザーである方が幸せかもしれません。それでも成りたい!という人の指針になればと思います。



タカハシ


探偵ファイルのトップへ戻る

前の記事
今月のインデックス
次の記事