●更新日 01/30●

妻の行き先は


数年前の話。
交通事故で入院中の男性から「妻と娘の件で相談したいが入院中なので、病院まで来てくれないか」という電話がきた。
『病院からの電話なんてよほどの事』と思いながら病院へ向かった。


女探偵ノゾミ
依頼者は仕事中に事故に巻き込まれ全治6ヶ月の重症。
「妻と娘が全く見舞いに来てくれない。連絡してもそのうち行くと言うだけで結局は来ないので、何をしているのか調べてほしい」とのこと。

私は妻と娘の写真を預かり、その足で調査を開始した。

自宅前で張り込んでいると、2人が帰ってきたのは翌日の朝だった。
妻は派手な服装、娘は制服姿。数時間後、娘は学校へ向かい、妻はベランダで洗濯と布団干し。

午後3時、妻は派手な服装に濃い目のメイクで出てきた。
電車で出掛けた先はスナック。夫からはスーパーのレジと聞いていたが嘘だった。

すぐに男性調査員を呼び、店内に潜入してもらうと、この店は普通のスナックじゃないことが判明した。
なんと、店の奥に怪しいスペースがあり、お金を払えばHなサービスが受けられる仕組みの店だったのだ。


女探偵ノゾミ
後日、この事実を夫に報告すると、夫は驚くどころか
「そうですか。良かった。仕事を辞めてなくて。勝手に辞められたら暮らせなくなるからね」
と喜んだ。
私はあっけにとられたが、とりあえず調査はここで終了。報告を済ませて事務所に戻った。

そして数日が経ち、次の調査の準備をしていると、再び病院から「大至急来てくれ」との電話。
依頼者の動揺が電話からでも伝わってきたので、慌てて病院に行くと、「妻がいなくなったから、探してくれ」とかなり慌てた様子。

妻が夫宛に書いた書置きには「もうこんな仕事嫌です」と一言。

夫は「お金が無いので、無料で探してくれ」と言うので、「無理です」と答えると、
「まあ、娘もいるし、借金はどうにかなるか」ポツリと言った。
なんて親だ…。私は最悪の気分で病室を後にした。

その後の妻や娘のことはわからないけど、結婚相手は慎重に選ばないと人生が真っ暗になると感じた調査結果だった。



女探偵ノゾミ


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