●更新日 01/05●

浮気夫は信用できない


「おめでとう」が飛び交うお正月。
毎年楽しそうに外出するカップルや家族を見るが、私は毎年調査を抱えています。

あれは4年前の12月。
24歳の主婦から、夫を探してほしいとの依頼を受けた。

結婚して1年。ワンルームに夫婦二人で暮らし始めてすぐに夫の浮気が発覚。
夫は「浮気相手とは別れる」と約束していたが、よりによって依頼者が出産のために入院中に浮気相手と失踪してしまったとのこと。

私はすぐに調査を開始した。
なんとかキャバクラ嬢と一緒にいることまでは解ったが、それ以上なかなか調査は進まない。

依頼者は生活に困って、深夜のラーメン屋で働き始めていた。
私は、依頼者と子供が気になって、何度かラーメンを食べに行った。

なかなか調査が進展しないことに苛立っていると、12月28日に動きがあった。
夫の地元である名古屋駅前の銀行で夫が10万円を引き出し、31日に実家に顔を出していたのだ。
私は車を飛ばし、急いで夫の実家に向かったが、時は元旦、初詣の車で道路は大渋滞。
イライラしながら、実家に着いた時には、すでに夫の姿はなかった。

依頼者の顔を思い出すと悔しくて、私は諦めることが出来ずにファミレスやビジネスホテルを探し歩いた。

『もういないのかな…』
諦めかけていると、元旦の昼近くになって、念のために連絡先を交換した夫の妹からの電話。
「さっき兄から電話があって、たぶん雀荘にいると思う」
それを聞いて、私はすぐに雀荘を探した。


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手当たり次第に雀荘を探していると、4軒目でやっと夫を見つけることが出来た。

そして、そのまま尾行し、宿泊先を割り出し、調査員を2人呼んで尾行態勢を整えた。
夫は1泊3万円のシングルに、女と泊まっていたのだ。


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そのことを依頼者に報告すると、
「電話で夫と話せるようにしてもらえませんか?」
とのことなので、部屋を訪ねると、驚いた夫が渋々話すことに合意。

私の携帯電話で話し始め、約20分後に電話を切った。

夫は私に、「必ず帰ります」と頭を下げた。
依頼者も「自分から戻って来るのを待つ」と微笑んだ。


数日後、心配になって依頼者に電話してみると、あの日以来、夫からは何の連絡もないとのこと。

『あの時強引にでも連れて帰ればよかった…』
依頼者のことを考えると、どうして連れて帰らなかったのかと後悔した。


今でも深夜にラーメンを食べるとあの時の複雑な想いを思い出します。



女探偵ノゾミ


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