●更新日 11/28●

働く人の憂鬱シリーズ 〜交通量調査員の憂鬱〜


日払い仕事の中で人気を誇っているのが「交通量調査」です。交差点などに折りたたみの事務イスを設置して、カチャカチャとカウンターを押して通過するクルマの台数を計測します。
今回は、その仕事に従事する人達の実態に迫ってみましょう。

まずはTさん(27歳・男性)に話を聞きました。去年の秋に勤めていた家電店が倒産して以来、この仕事をしています。

この仕事をどうやって知ったのですか?
大学時代に数回アルバイトしたことがあって、次の仕事が決まるまでのつなぎでやるようになったんです。その日の勤務終了時に即金で給料がもらえるのが魅力的で。そのまま、ズルズルやっているという感じです。

だいたの相場としては7時〜19時までの12時間勤務で1万円。7時〜翌7時までの24時間勤務で2万円。調査が多くなってきて調査会社各社が人員の確保に躍起になりだす(調査日が重複することが多い)とプラス2000円から3000円へとアップする。
この給料には事前に行われる説明会への参加交通費や調査当日の交通費も含まれている。単純に時給換算すると、あまり割りがいいともいえないようだが…

人間関係のわずらわしさがないし、特別な技術もいらないから気楽なんです。去年は国勢調査の年で仕事がたくさんあって食うには困らなかったですし。
ただ、1年やってみて仕事に波があることがわかったし、そろそろ潮時かとも思っています。だいたい秋から冬にかけては仕事が多くて、春から夏にかけてはチョボチョボです。去年の今頃は珍しさも手伝って箱根や小田原の調査に積極的に参加しましたが、それもマンネリ化してきてるし。知らない街に行くのは嫌いじゃないですが、コストパフォーマンスで見ると稼げないのが明白ですから。
それと真冬に24時間調査をした時は体が凍るかと思いましたよ(笑)。これからの季節は寒さとの闘いです。
まぁ、このまま春くらいまでは調査の仕事をしながら新しい職を探すつもりです。将来性があるとは思えませんから。


Tさんは、一番稼いだ時でも月収は20万円弱だったと言う。「気楽さもいいけど、先も考えないと」と真剣な口調で語っていたのが印象的でした。


写真 ※写真はイメージ
2時間調査して1時間休憩というローテーションが平均的

次に話を聞いたのはAさん(35歳・男性)。自営業をしていたが事業に失敗して自己破産。3年前から交通量調査をメインに空いている日には派遣で工場などで仕事をしている。

事業の失敗が調査員をはじめたきっかけですか?
そうですね。再就職したこともあったのですが、長く続かなくて…。そんな時に知人からの紹介で試しにやってみたのがきっかけです。最初は「誰にでもできて楽勝!」なんて軽い気持ちだったんですが、自動車を数えるのでもバスや大型、普通や小型貨物など調査によって分類が多い地点があって戸惑ったりしました。ワンボックスの普通車と小型貨物のバンなんて見分けがつかないですから。女のコは特にその傾向が強いみたいで、その辺の分類は適当にやっている人が少なくないみたいです。
私の場合は始めて3年経ちましたから、さすがに慣れました。機械的にやれる仕事なので、やっぱり楽ですね。


この仕事をしていてツライことは?
雨が続くと、調査が延期になるので当てにしていた給料が入らなくなるのがツライというか苦しい。途中からの雨で強行されるのも肉体的にきついですけどね。ですから、できるだけ駅構内の通行人数やショッピングモール内の来店者数なんかの雨に左右されない調査を優先させています。今は派遣の仕事もしているので、これからはそちらがメインになっていくんじゃないかな。長期でやれるところもありますから。早く安定した生活に戻って、別居している家族と一緒に暮らしたいです。コンスタントに20万円はもらえるようになったので、もう少し収入をアップさせたい。

やめたいと思いながらも定職に就けずに調査員を続ける人達も多いらしい。ここ数年の傾向としては中年世代が増えているそうです。

この2人の紹介でほかにも数人の話を聞けた。この仕事ならでのエピソードを抜粋してみよう。


「移動のバスが高速道路でパンクした。怖いので、もう遠出はしたくない」
「同じ地点のメンバーがお金もないのにファミレスで食事をしてしまった。しょうがないので、監督が立替えていた」
「夜中の休憩時間に野犬と遭遇。びびっりまくった」


こんな目に会いながらも、1度ハマるとなかなか抜け出せないのも事実。“日払いの魅力”は大きいようです。


写真
変則的な交差点での調査も多い



ラージ・デイブ


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