●更新日 10/03●

働く人の憂鬱シリーズ〜漫画家さんの憂鬱〜


様々な業界に生きる人々から、その実情を明らかにしてもらうこのシリーズ。
今回は、ファミ通「いい電子や「ササキ様に願いを」「幕張サボテンキャンパス」などの作品でおなじみ、漫画家のみずしな孝之先生にいろいろとお話を伺ってきました。


 こけし祭りで似顔絵を描いていただいたこともありました




――漫画家になられたきっかけは? 

もともと似顔絵が描くのが好きで、小学生のころから、クラスメイトや先生をモデルに4コマ漫画を描いてました。
中2のときたまたま入ったコンビニで4コマ雑誌に出会いまして、こういう世界があるなら、いままでやっていたことが 
生かせるかも?と思い投稿を始めました。 
中3のときから、月刊ホエールズ(月刊ベイスターズの前身)で挿し絵カットなどはやっていたのですが、漫画家としてのデビューは高3のときです。 


――このご職業の魅力は? 

描いている作風にもよるのですが何をやっても、漫画のネタに繋がるところが非常に魅力的です。 
普通の職業なら、辞表を書いて失踪をしなくてはいけないような大きなとり返しのつかない失敗をしても心が折れなければネタとして生きて行ける職業です。 


――入ってみて、実情はどのようなものでしたか? 

作業のほとんどを一人でやることになるので作品を外に発表していることを除けばほとんどニートと変わらないようなもんで、常に「こんなことでいいのか?」という自問自答の日々です。 
精神を害してもたまにならいいか、くらいの気持ちでやらないと長くは続けられないぞと言うのがデビュー5年目くらいで分かりました。 
僕は、ようやく食っていけるくらいの稼ぎができるようになりましたがやはり、経済的には苦しい仕事です。 
この職業と折り合いをつけるにはそれなりの誇りと、周囲の理解がないと難しいと思います。 


人気作品「けものとチャット

――笑い話や苦労話などは? 

デビュー当時、一時的に女性ファンがいっぱいいた時期がありまして、こんな僕に段ボール2箱くらいチョコを頂いたのはいま思い返しても夢のようだったのですが、顔出しをするようになったら翌年ゼロになったのは笑いました。

デビュー5、6年目あたりでネタが出ない苦しみから全身にじんましんが出来て人に迷惑をかけずに消えたいとばかり思うようになり、お酒とかちょっとした自殺未遂とか心が折れてしまったときがありまして、さすがにこのときは薬のお世話になったのですがこのあたりの話は思い返すのも辛いです。 


――「この仕事をしていて良かった」と感じた時はどんなときでしょう?

漫画家として問題なんでしょうが正直、いまだに自分の漫画の良さがよくわからないので、激励であろうと叱咤であろうとリアクションが頂けると言うのは嬉しいです。 
昔、勘違いしてた時期は、良い意見にしか耳を貸さなかったのですが、その暗黒時代を通過して自分がかなり大したことのない人間だと自覚してからはファンの方に手紙やメールをもらったりサイン会や公演で実際に読者にお会いできるのは 
何事にも変え難い喜びでして、これだけが、いまの活動を支えていると言っても過言ではないと思います。 


――最後に、この業界を目指す人にアドバイスをお願いします 

漫画家を目指すんでしたら漫画以外のことをいろいろ見たり聞いたり体験しておいたほうが良いと思います。 
普通に、絵のうまい方はたくさんいるので差が出るのはそういう経験の部分だったりします。 
僕から言われるのもどうかと思いますが、頑張ってください!




ありがとうございました!

みずしな先生よりお知らせ
みずしな孝之先生の所属している劇団「うわの空」は現在アイピッド目白で公演中!
以前スパイ日記でご紹介した元・たまの石川浩司さんもご出演とのこと。乞うご期待!


詳細は劇団HPまで




Taka


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