●更新日 05/12●

仏像にイタズラすると殺される世界


「CGを使わず、ワイヤーを使わず、スタントマンを使わず、早回しを使わず、”ムエタイ”のみで作られた」というのがウリのタイ映画、「マッハ」

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日本でも公開されて、アクションシーンの物凄さが話題になったので、御存知の方も多いだろう。

この映画、「仏像の首を盗んだ犯人を主人公が追っかける」ところから始るわけだが、全編を通し、とにかく仏像の大切さが強調される。

日本人には「なんでそんなに仏像が大事か」という部分がイマイチ理解できないところかもしれない。

しかし、タイ仏教というのは本当に仏像を神様として尊重するものなのだ。

「ブッダ」の他にも「仏像がいかに大事か」ということが分かる映画が、タイ版ウルトラマンの「ハヌマーン」シリーズの1つ、「ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団」だ。


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中央右の白っぽいのは敵の怪獣ではありません


この作品では、前半で寺院から仏像を盗んで逃げている盗賊をタイ版ウルトラマンが

「逃げられるとでも思うのか!? 殺してやるー! 仏様を大切にしない奴は死ぬべきなのだー!」

などと言いながら追い詰め、犯人達を踏み殺し、挙句の果てには手で掴んで握り殺す、という非常に恐ろしい内容……


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こいつがタイ版ウルトラマンの「ハヌマーン」本人


決して海賊版作品などではなく、一応「ツブラヤ・チャイヨー」という、タイの円谷プロの(※)オフィシャル作品だ。

※日本以外のウルトラマンの、全世界の版権を全て持っているのがこの「ツブラヤ・チャイヨー」です。どうも、この会社の社長に、円谷英二氏が「ウルトラマンの版権あげるヨ! 日本以外のね」と、ノリで(多分)譲っちゃったらしい。円谷英二氏が亡くなられたあと、版権を取り戻そうと円谷プロが裁判を起こしたけど、日本の円谷の敗訴に……

いろいろ凄い内容のため一部で有名な作品なので語られ尽くされており、これ以上はここでは触れません。

詳細を知りたい方は、「タイ版ウルトラマン」「ウルトラマン ハヌマーン」等で検索してみて下さい。

しかし、「いくら仏像が大切っていっても、映画だから強調されてるだけで、実際はそんなに需要なものではないのでは?」と思うのが日本人の心理。

でも、それを裏付けるような現実の「事件」が、2006年3月21日に起こった。


「エラワンの祠」にイスラム教徒の男性が侵入し、本尊のブラフマー神像にハンマーを打ちつけ破壊した。男性はその後逃走を図ったが、周囲にいたタクシー運転手やゴミ収拾作業員らが取り押さえた上リンチにかけ、殺害した。


リンチした人たちは一時拘束されたが、すぐに釈放。当然のように無罪だ。

映画の中の話ではなく、つい先日のこと。現場は首都バンコクで「タイ・イセタン」のすぐ近く。

最近まで「そごう」だった建物の下という、日本人も日系企業も非常に多い場所である。

一見、大都会で、日本と変わらない風景の場所だが……


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タイでは、日本の感覚で酔って仏像に落書きなどしてしまったら、トンでもないことになるので気をつけよう。
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梅宮 貴子


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