●更新日 04/18●

クジラのうたう歌


4月9日午後6時ごろ、鹿児島県・佐多岬を航海中の高速船『トッピ−4』が何かに衝突。
報道によると乗客93人重軽傷の大事故。

クジラと衝突した可能性が高いと言われる中、新たに流木にぶつかったという可能性が浮上しており、真相はまだわからないが、
高速船のあまりの速さにクジラがよけきれなかったのではないかという専門家の見解もあり、今後新たな対策が必要となりそうだ。





ところで、そのクジラには不思議な能力があるという。

今回は、クジラについて20年研究を続けている 九州産業大学芸術学部教授・斉藤光範氏 に電話取材を試みた内容である。

▲斉藤光範教授(斉藤教授の研究室・ウェブサイト

イルカには言語があると言われているが、なんとオスのザトウクジラ歌を歌う
しかも毎年、ある一曲だけを歌う。
つまりクジラの世界にも流行歌(?)が存在するというのだ。


▲ザトウクジラ

また北半球と南半球とでは流行する歌も違う。
斉藤教授より音声データをお借りすることができたので、是非聞いて頂きたい。

●鯨歌ダウンロード

その歌声はエンジン音や蛙の鳴き声のようになったりと変幻自在。
一曲の時間は20分〜30分の大作で

「鼻歌のようないい加減なものでなく、ちゃんと意味を追っているもののようです」

と、なんと歌詞もあるというわけだ。
しかし、まだクジラの言葉が解明されていない為、歌詞の内容は謎。
そしてクジラの歌が一体毎年どのように生み出され広まっていくのか、約30分の大作をどのようにして覚えているのかといったことについても謎。
しかしオスのザトウクジラが歌を歌う目的はだた一つ。

求愛。

つまりクジラの歌はラブソングなのだ。

歌を聴いたメス、そのラブソングに込められた想いを受け止めたとき、彼女はいそいそと声の主の元にやって来るという。
そして新しい生命が作り出され、未来へと繋がっていく・・・。


▲上野国立科学博物館 シロナガスクジラ(実物大模型・体長30m!)

ちなみに歌声は、高音であれば数キロ先の相手にも届くという。
斉藤教授も、水中で実際にクジラの歌声を聞いたことがあり、クジラが見えない位置でも、人の怒鳴り声位の大きさで聞こえたそうだ。
もしクジラの言葉を解明し遠くのクジラ達に危険を伝えることができれば、船とクジラの衝突事故は防げるかもしれない。


▲作品名「とんだ」制作者・斉藤光範


数キロ先の相手にまで届くクジラのラブソング。
それは、きっと海より深い愛を歌っているに違いない。



Li Kouji(リ・コウジ)


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