●更新日 05/20●
私はナニモノ? 安 今日子
前回FIFAの決定について書かせていただいたところ、結構な反響をいただきました。いろいろ事情はあるにせよ、後は試合が無事に行わることを祈るのみ。そんな中、こんな質問を受けました。
「今日子さんは今度の北朝鮮対日本戦、どちらを応援するんですか?」
ふんふん、なるほど。
朝鮮を応援します。(*以下"北朝鮮"は"朝鮮"と記します)だって、地元にチームがあれば、そのチームを応援しますよね?(皆が皆ではないと思いますが…)感覚としてはそんな感じです。
2月9日に埼玉スタジアムで行われた、対朝鮮戦。皆さんは観に行きましたか?
私はアウェイ側(朝鮮)のベンチで観戦しました。日本が2−1で勝利を収めたこの試合、本当に悔しかったです。悔しくて涙が出たことを今でも覚えています。でも、いい試合をしたと思うし、一点でも入れたことや、何よりも、日本に来て試合を行ったことが大変貴重に思えました。試合の前は少し心配でした、警察や警備にあたる数が3千人に上る警備体制の下、試合が行われると報道で聞いたからです。無事に終わったときは正直ホッとしました。
両国間に国交はないものの、スポーツを通してこのように行き来できることは素晴らしいです。そういう意味では、今回のピョンヤンでの対日本戦は良い機会になるはずでした。個人的な見解をここで述べて申し訳ありませんが、今回の試合に限っては、勝ち負けよりもピョンヤンに日本の方々が来るということに私は大きな意義を感じていました。
こんな言い方をすると、政治とスポーツを一緒にするなと言われそうですが、そうではなくて、スポーツ観戦でピョンヤンに来るというのが前提で、付加価値として日本の方々に朝鮮の地を踏んでもらい自らの目で見て感じることが大事だと思ったのです。過去何度か韓国あるいは日本で開催されるはずだった学生たちの交流会や、修学旅行、そして公演会が延期・中止になったことがあります。
お互いを知るよい機会がなくなるのは残念なことです。こんな残念をなくしていきたい。これが今日子の素直な気持ちです。
私は国籍が朝鮮で、故郷が韓国、そして住居地が日本という、類稀な人間です。幼いころからその意味を考えていました。
学生でカナダに留学した時、ホストファザーに「君は日本人だよ」と言われました。
私は一生懸命自分の境遇について話しました。
しかし、ホストファザーは怪訝な顔をして
生まれも育ちも日本で国籍が朝鮮?
見た目も日本人と変わらないじゃないか。
カナダで生まれた人は何人であろうとカナダ国籍なんだよ。
ルーツ?そんなのなくても楽しく生きてけるよ。
その夜私は一人部屋で泣きました。
自分がわからなくなりました。
日本に生まれても日本人ではなく、住んでいるのは日本なのに国籍は朝鮮。
ワタシハナニモノナノダロウ
考えても答えが出ない、辛い夜でした。
どこで生まれても辿れば行き着く先がある。本当ならば私もそこで生まれていたかもしれない。そこに、たまたま私がいなかっただけ。それを証明するのはただ一つ。
私はそれを知り、自分を知り、自分の存在価値を見つけました。
安 今日子
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