●更新日 04/06●

ルミちゃん事件(最終回)〜選択〜


(鳥取県内。某喫茶店にて。)

「これをお渡ししておきます。男性Bについての報告書です。
データ調査の結果「探偵」と「男性B」が同一人物であることも証明できました。
これを使えば、男性Bを刑事罰に処すことができるでしょう。



お母さん。これから、あなたには二つの選択肢があると思います。

一つは相手男性を刑事告訴し、事件を公にした上で罪を問うことです。

相手男性のしたことは、軽微ではあるものの、れっきとした犯罪行為です。
ましてや、相手は公務員。その気になれば、十二分な社会的制裁を与えることができるでしょう。
そして、ルミちゃんの安全は保障されます。
刑事事件として世間に公表された後、Bがルミちゃんに手を出してくるとは考えられませんから。

ただし、そうなればご主人やルミちゃんに真相を隠し通すことは困難でしょう。
あとは、あなた方家族次第ということになります。

もう一つは、この事件を「フィクション」にし、全てを「無かったこと」にすることです。

あなたは浮気なんかしなかったし、男性Bとも関わらなかった。私とも「探偵ファイル」とも関わることは無かった。
『娘のPCに、幾つか「いたずらメール」が来たことがあったけど、すぐに来なくなった。』
それだけのことにしてしまうことです。

ただしこの場合、こちらの無抵抗に味を占めた男性Bが、いつ気を変えて、あなたやルミちゃんに手を出してくるかわかりません。
そういう不安要素を将来的に抱え続けることになります。
私に選択権はありません。どちらでも、お好きなほうを……」



母親は考えこんだ。ながくながく考え込んだ末、結論を出した。
是非はどうあれ、彼女が、彼女なりに、懸命に考えて出した結論だった。

その日、この町では数年振りと言われる大雪が降っていた。




「ルミちゃん事件」〜完〜

※この事件記事はフィクションであり、実在の人物・事件とは一切関係ありません。



探偵ファイル・九坪


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